095号

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6 高知論叢 第95号用対象物と利用方法を制御すること。」 共同利用とは,空間軸と時間軸でみたところの共同利用である。したがってある利用対象物をある時点で誰かと一緒に利用するということと,利用対象物を次から次へと誰かが利用していくということの二つの意味をもつ。共同利益についても同様に,空間軸と時間軸でみる必要がある。空間軸とは,利用する人の個別的利益だけでなく,その利用が広く社会や国際社会全体の発展に寄与することである。時間軸とは,その利益がある時やある世代だけの利益に限定された一過性のものではなく,利用者や社会・国際社会のメンバーが持続的に利益を得るようにしなければならないということである。 したがって,より多くの人が利用や利用接近できればできるほど,またより多くの人がそのことから持続的な利益と満足を得られると共に社会や国際社会の持続的発展に寄与できればできるほど,そしてそのように利用や利用方法を制御できればできるほど,この三つの行為側面から評価したところの公共性水準は高まる。 不特定多数の人々が利用するということは,それだけ多面的多様性を有する人々が利用するということになる。利用する人が多数であればあるほど,その多面的な多様性は広がる。したがってその多面的な多様性を有する人々すべてが,利用や利用接近でき,利用対象物とその利用から持続的な利益や満足を得られるようにするためには,それが可能となるように利用対象物と利用方法を制御することが必要になる。 ユニバーサルデザインは,これを実現するために,利用対象物と利用方法の設計,計画,企画,開発,作成,供給,管理,運営にあたっての指針を提供したものである。それゆえ,設計者,供給者,生産者,管理者,運営者の行為指針でもある。 ユニバーサルデザインの提案を公共性の発展指針として受け入れれば,わたしの公共性の定義は次のようになる。「どのような状況にあるどのような人であってもすべての人が, 利用あるいは利用接近でき,その利用から持続的な利益と満足を得られ,同時に社会や国際社会の持続的発展と調和できるように,利用対象物と利用方法を制御すること。」