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介護労働の変容と財政課題79り,介護サービスを拡充するための財政政策の課題を検討し,今後の介護労働のあり方を考察することを目指す。第1章 介護労働の特質と「看護」代替性1.介護労働の特質と専門性 試みに....

介護労働の変容と財政課題79り,介護サービスを拡充するための財政政策の課題を検討し,今後の介護労働のあり方を考察することを目指す。第1章 介護労働の特質と「看護」代替性1.介護労働の特質と専門性 試みに「介護」を広辞苑(第 6 版)で引いてみると,「高齢者・病人などを介抱し,日常生活を助けること」とある。類似である「介助」については,「そばにあって起居・動作などを助けること」となっている。介護や介助という行為そのものは,家族あるいは地域社会の間で営まれる日常生活において伝統的かつ一般的に行われているものであるが,現実の要介護者の状況は様々であり,心身の状態や家族の状況,また本人や家族の意思や要望もきわめて多様である。したがって,それぞれの個別的なニーズを把握・充足するために,専門職のみならず要介護者の家族や地域社会が連携して行う介護・介助,支援,代行,見守りなどであり,きわめて多様かつ多くの場合長期的な一連の活動であるといえる。 従来から家族が担ってきた介護が「労働」として認知されるのは高齢化社会の到来が現実的な問題となり,1963年に老人福祉法が制定されてからといえる。同法において,「老人家庭奉仕員」あるいは「寮母」が行う仕事を「介護」とし,ここで初めて行政用語としての「介護」が登場した。 現行老人福祉法では,「老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに,老人に対し,その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ,もって老人の福祉を図る」(同法第 1 条)ことを目的に,「老人は,(中略)生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障される」(同法第 2 条)ことを基本理念としている。「これを具体化する施策」であるところの「福祉の措置」として,同法第10条(「介護等に関する措置」)において,65歳以上の者で身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障がある者に対し,「居宅における介護等」(第10条の 4 ),「老人ホームへの入所等」(第11条)などの措置が規定され,それぞれ「訪問介護」,「通所介護」,「短期入所生活介護」や「養護老人ホーム」,「特別養護老人ホーム」などの具体的なサービス・施設があげられている。