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金融ユニバーサルデザイン(上) 7 実際に,駅,街並み,ホテル,公園,公民館,市民会館,病院,学校,交通,道路などの不特定多数の人が利用する共同利用施設に,ユニバーサルデザインは生かされてきた。日本では....

金融ユニバーサルデザイン(上) 7 実際に,駅,街並み,ホテル,公園,公民館,市民会館,病院,学校,交通,道路などの不特定多数の人が利用する共同利用施設に,ユニバーサルデザインは生かされてきた。日本では,建築物について高齢者・障がい者が円滑に利用できることを目指した「ハートビル法」が1994年に制定され(2003年改正),2000年には「交通バリア法」,そして2005年に国土交通省が「ユニバーサルデザイン政策大綱」を発表し,2006年にはこれらの取組みを包括した「バリアフリー新法」が制定された。また地方自治体でもユニバーサルデザインを生かした「まちづくり条例」が制定されるなどの積極的な取組みが行われてきた。2008年に,政府は新たに「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進要綱」をまとめた。これは2004年に決定した「バリアフリー化推進要綱」にユニバーサルデザインの考え方を取り入れたものである。7) 近年,自動車,ガス湯沸かし器,シュレッダー,回転ドアー,シャッターなどの工業製品の事故が多発し,子供や青年が生命を失ったり大けがをするなどの痛ましい事故が起こっている。ユニバーサルデザインの思想が設計や開発段階で導入され,経営・運営方針に組み込まれていれば,これらの多くの事故は防ぐことができた。 このようにユニバーサルデザインは,どのような状況にあるどのような人であっても,すべての人に使いやすいという利用原則を示したものである。つまり,すべての利用者にとっての個別的利益を最大限に発展させようとする原則である。しかしこのために,わたしの公共性の定義にある「社会や国際社会の持続的発展と調和できる」という共同利益原則は含まれないことになる。 ユニバーサルデザインの開発者もこのことにはふれていて,後ほど紹介するユニバーサルデザイン原則の注記(1)で,ユニバーサルデザイン原則は,「すべての人に使いやすい」という視点でのみ作成されたものであって,実際のデザインに際してデザイナーは,経済性,技術性,文化性,ジェンダー(性差別),環境への配慮などについても考慮しなければならない,と但し書きをしている。 しかしユニバーサルデザインを公共性の発展指針とするためには,社会や国際社会との調和にも配慮したユニバーサルデザインが必要になる。とりわけ社会的そして国際的な規模でのリスク管理を必要とする金融ユニバーサルデザイ