095号

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88 高知論叢 第95号格取得方法が大きく変更されることとなった。具体的には,養成施設を卒業する場合,その修業時間数が1650時間から1800時間に拡充され,修了後に国家試験を受験することが新たに課される。また,....

88 高知論叢 第95号格取得方法が大きく変更されることとなった。具体的には,養成施設を卒業する場合,その修業時間数が1650時間から1800時間に拡充され,修了後に国家試験を受験することが新たに課される。また,実務経験を経て国家試験を受験する場合にも,新たに 6 ヶ月以上(600時間)の養成課程が課せられることになる。これにより,資格取得方法を国家試験に一元化し,介護福祉士の質の統一を図るととともに,さらなる知識の深化と技術の向上が目指される9。(3)介護労働の「看護」代替性 介護サービスが制度化されて以降,日本の高齢者介護の現場では,専門的知識と技術をもった介護福祉士やホームヘルパーの有資格者が中心となりながら,一方で多くの無資格者も介護労働に携わってきた。 高齢化にともない医療・看護・介護サービスが増大するなかで導入された介護保険制度は,老人医療費を押し上げる要因として問題となったいわゆる「社会的入院」を解消することを目的に,医療保険下の療養病床の入院「患者」を,介護保険制度下の介護施設・サービスの「利用者」へと移行させることに主眼があった。こうした政策転換には,療養病床における看護業務そのものに介護的要素が含まれているという認識があるといえる。看護の専門性をどうとらえるか,また,「看護と介護の分化」の妥当性については議論の余地があるが,本稿ではこの点には立ち入らず,現実の制度的分離を前提にする。 介護保険の制度化により,医療(保険)から介護(保険)への移し換えが図られたが,当然状態によっては介護施設や在宅における医療行為が必要となる場合がある。「医療行為」とは,「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし,又は及ぼすおそれのある行為(医行為)」10であり医師,歯科医師,看護師等の免許をもたない者が医業を行うことは禁止されている(医師法第17条,歯科医師法第17条,保健師助産師看護師法第31条)。「医業」とは,9 山下幸子〔2008〕「求められる介護教育」上野千鶴子・大熊由紀子・大沢真理・神野直彦・副田義也『ケアを支えるしくみ(ケアその思想と実践 5 )』岩波書店,pp. 227-228。10 厚生労働省医政局長通知「医師法第17条,歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(医政発第0726005号),2005年 7 月26日。