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介護労働の変容と財政課題91 さらに,医薬品の使用の介助については,まず患者の状態が,①入院・入所して治療する必要がなく,様態が安定している,②副作用の危険性や投薬量の調整などのための連続的な経過観察が....

介護労働の変容と財政課題91 さらに,医薬品の使用の介助については,まず患者の状態が,①入院・入所して治療する必要がなく,様態が安定している,②副作用の危険性や投薬量の調整などのための連続的な経過観察が必要な場合ではない,③医薬品の使用方法について専門的な配慮が必要な場合ではないという3条件を満たしていることを医師が確認し,医療従事者以外が使用介助できることを患者とその家族に伝えたうえで,医師から処方を受けた医薬品を医師・薬剤師らの服薬指導のうえ,保健指導を遵守して使用することを求めている。 上記の行為について,医師や看護師から指導を受け,必要な技術を習得できれば,介護職員でも安全に行うことは可能であろう。しかし,「軽微」の判断や医薬品の扱いに際しては,利用者もホームヘルパーも大きな不安・緊張を感じながら,その結果にも常に責任を負うことになる。看護・療養の必要な高齢者が安心して在宅で過ごすためにも,ホームヘルパーがその専門性を十分に発揮し,質の高い介護サービスを提供することが最も重要であり,そのための条件整備をさらに図る必要がある。第2章 訪問介護の制度化と国庫補助方式の変遷1. 訪問介護の制度化と人件費補助方式 介護サービスには様々な種類や形態があるが,大きく「在宅介護」と「施設介護」に区分されている。高齢化が進み,高齢者の認知症や寝たきり問題が社会問題化する中で,ノーマライゼーションの理念を受け,住み慣れた地域・居宅における生活の継続性を重視し,在宅福祉の推進が図られていった。特に在宅介護サービスのニーズが急速に拡大するなかで,その中核を担うのが訪問介護サービスである。以下では訪問介護が制度化された当初の運営・財政状況を検討し,特に,国庫補助方式の変遷がサービス提供のあり方に与えた影響を考察する。 いくつかの自治体における先行事業を受け,1962年に国が国庫補助事業として制度化した「老人家庭奉仕員派遣事業」では,派遣対象について「老衰,心身の障害,傷病等の理由により,日常生活に支障をきたしている老人の属する