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92 高知論叢 第95号要保護世帯とする。(中略)要保護老人世帯数の中に占める被保護老人世帯の割合は,概ね50%以上とする」17など,対象を極めて厳しく規定するものであった。1963年の老人福祉法施行以降は同法に....

92 高知論叢 第95号要保護世帯とする。(中略)要保護老人世帯数の中に占める被保護老人世帯の割合は,概ね50%以上とする」17など,対象を極めて厳しく規定するものであった。1963年の老人福祉法施行以降は同法に「老人家庭奉仕事業」として法定化されたが,1965年の通知においても,対象者について「老衰,心身の障害,疾病等の理由により, 日常生活を営むのに支障がある老人の属する低所得の家庭であって,その家族が老人の養護を行えないような身体的,精神的状況にある場合とする」18とされ,「要保護老人世帯」から「低所得の家庭」へと変更されたものの,法定化以前と同様,限定的なサービスであった。 その後1970年の要綱改定において,「日常生活に人手を要し,家族以外のものに介護されているか,または家族が病弱であるため,介護が著しく困難である」場合へとの対象の拡大が図られた19。さらに1976年の改定では,「日常生活を営むのに支障があるおおむね65歳以上の低所得の者であって,養護者の得られない場合」とされ,高齢単身あるいは高齢夫婦世帯に限られていた対象要件を緩和し,家族と同居していても家族が介護できない場合は派遣できるようになった20。こうした改定を通じ,派遣対象者の身体状況と家族状況に関する要件が緩和されていった。 しかし,後の「在宅三本柱」の中核となる訪問介護サービスにつながる最も重要な転換は1982年の要綱改定21によるといえる。改定の趣旨として,①派遣回数,時間数の増,②臨時的介護需要への対応(家庭奉仕員の勤務体制の弾力化),③派遣対象の拡大の 3 点があげられ,派遣対象については「現行家庭奉仕員の17 厚生省事務次官通知「老人家庭奉仕員事業及び老人福祉センターの助成について」(社発第157号),1962年 4 月20日。18 「老人福祉法による老人家庭奉仕事業の実施について」,1965年 4 月 1 日。19 津田康裕〔1998〕「ホームヘルプサービスの急速な展開と介護保険」日本福祉大学社会福祉学会編『真の公的介護保障めざして ―福祉現場から具体的に考える―』あけび書房,p. 150。20 大石康子〔2000〕「介護保険実施によるホームヘルプ事業の公的責任を問う闘い」石田一紀他『介護保険とホームヘルパー』萌文社,p. 63。21 厚生省社会局長通知「在宅老人福祉対策事業の実施及び推進についての一部改正」(社老第98号),1982年 9 月 8 日,及び厚生省社会局老人福祉課長通知「老人家庭奉仕員派遣事業運営の改正点及び実施手続等の留意事項について」(社老第99号),1982年 9 月 8 日。