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介護労働の変容と財政課題93派遣対象である低所得者の家庭(原則として,その世帯の生計中心者が所得税を課せられていないものをいう)については,引き続き無料で派遣することとし,今回加えて,ねたきり老人等の介....

介護労働の変容と財政課題93派遣対象である低所得者の家庭(原則として,その世帯の生計中心者が所得税を課せられていないものをいう)については,引き続き無料で派遣することとし,今回加えて,ねたきり老人等の介護サービスが,一般市場では容易に得られない実情等にかんがみ所得税課税世帯に対しても有料で派遣できるようにしたこと」と説明している。 この改定において,派遣対象の規定は「日常生活を営むのに支障があるおおむね65歳以上の者がいる家庭であって,その家族が老人の介護を行えないような状況にある場合」となり,「低所得の者」という言葉が削除された。派遣対象に対する所得制限を撤廃することにより,介護サービスの利用を一般化・普遍化するものであったが,それと引き換えにサービスの有料化が導入され,「応能」負担というきわめて特異な費用徴収制度が福祉サービス全般に導入され,また強化されていく契機となった22。 派遣対象と同時に,派遣回数についても徐々に拡大されていった。1962年の制度発足時から,運営要綱に明示されており,当初は「週 1 日以上」となっていたが,1976年の改定により「少なくとも週 2 回以上」と変更された。1982年の有料化導入の際には「派遣回数,時間数及び内容並びに費用負担区分は当該老人の身体状況,世帯の状況等を十分検討した上で決定すること」として,それまでの「週 2 回以上」という例示的な規定を外し,派遣回数増を可能にした。 1980年代以降,訪問介護サービスが質・量ともに急速に拡充していく過程で重要であったのが「人件費補助方式」という国庫補助方式である。人件費補助方式とは,訪問介護サービスの運営費に対する国の補助金制度の一つであり,その大きな特徴はホームヘルパーの勤務形態別の配置実績に着目し,「常勤」については月額単位で,「非常勤」については日額単位と時間給単位で補助基準額を設定する点にある。市町村直属の,あるいは事業委託先である社会福祉協議会等が常勤ヘルパーを 1 人配置すればそのヘルパーの活動月数に応じて,非常勤ヘルパーについては活動する日数(登録ヘルパーについては活動時間数)に22 福祉サービスの費用徴収制度については,西島文香〔1997〕「社会福祉サービスにおける費用徴収制度の形成とその論点 ―論的根拠と批判的検討―」『社会問題研究』第47巻第 1 号を参照。