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96 高知論叢 第95号対応しながら,リハビリや療養施設への入所など長期的なプランをもって,関係機関との連携を絶やさない活動が求められるのである。 訪問介護のサービス内容に関しては,1976年の要綱において以....

96 高知論叢 第95号対応しながら,リハビリや療養施設への入所など長期的なプランをもって,関係機関との連携を絶やさない活動が求められるのである。 訪問介護のサービス内容に関しては,1976年の要綱において以下のように規定されている。まず,「家事介護に関すること」と「相談助言に関すること」に区分したうえで,前者については ①食事の世話,②衣類の洗濯・補修,③住居等の掃除・整理整頓,④身のまわりの世話,⑤生活必需品の買い物・通院介助,⑥その他必要な家事介護,後者については①生活,身上に関する相談助言,②その他必要な相談助言,となっていた。当時の家庭奉仕員の派遣対象は虚弱な高齢者世帯などに限られており,サービス内容は家事援助が中心だった24。 その後1982年の要綱改定において,身体介護と家事援助を区別し,それまでの「家事介護に関すること」の内容を「身体の介護に関すること」と「家事に関すること」とに区分した。前者については新たに,排泄の介護,衣類着脱の介護,入浴の介護,身体の清拭・洗髪,その他必要な身体介護という項目が加わり,身体に触れる直接介護が前面に出された。また後者についても,医療機関等の関係機関等の連絡も加わり,いわゆる社会的入院対策としての地域での受け皿づくりが重要視されるようになったといえる。 1997年に介護保険法が成立したが,サービスの基盤整備の必要からその施行が2000年に先延ばしされるなか,訪問介護のあり方を大きく変容させる財政方式の変更がなされた。訪問介護サービスに対する国庫補助方式として,1997年度から新たに導入された「事業費補助方式」においては,ホームヘルパーの勤務形態別の配置実績ではなく,実際のサービス内容と時間・回数といった活動(サービス提供)実績に応じて補助金を算定する,いわば「出来高払い」方式となる。これについて,厚生省(当時)は,「サービスを効率的に提供する体制を整備するとともに,介護保険制度の導入を展望し,(中略)サービスの提供量に応じた事業費補助方式を導入」25すると説明しており, この方式が介護保険への移行のための重要な布石であることがわかる。 事業費補助方式では,訪問介護の内容と訪問時間・回数,さらに時間帯に基24 津田康裕,前掲論文,p. 152。25 厚生省老人保健福祉局「全国厚生関係部局長会議資料(1998年 1 月21日)」より。