096号

096号 page 10/170

電子ブックを開く

このページは 096号 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
8 高知論叢 第96号④金融利用者のペースに合わせるようにすること。 原則 2 においても原則 1 と同様に,原則名における「利用」を「金融利用」とし,原則定義文にあった「デザイン」を「金融デザイン」とした。そ....

8 高知論叢 第96号④金融利用者のペースに合わせるようにすること。 原則 2 においても原則 1 と同様に,原則名における「利用」を「金融利用」とし,原則定義文にあった「デザイン」を「金融デザイン」とした。その意味も原則 1 で説明したことと同じである。ガイドラインについても「利用」と「利用者」という用語に,それぞれ「金融における」と「金融」という文言を挿入して,「金融における利用」と「金融利用者」とした。この「金融利用」も「金融利用者」も,前述したことと同様に広い意味で取り扱う。 原則 2 は,金融デザインが,金融利用者の間に広い範囲で存在する好みや能力などの多面的多様性に柔軟に対応できることと,そのさまざまな多面的多様性に適合できるものであることを求めた原則である。 「広い範囲で異なる個々人の好みや能力」の文言における「個々人の能力」については前述したことと同じ意味であるが, 今回の原則には「個々人の好み(preferences)」が追加されている。「好み」とは,金融ユニバーサルデザインにおいては,趣味的要素からくる好みではなく,金融選択上の目的と意図,金融選好動機やニーズのことを示す。 「柔軟性がある」とは,金融利用者がそれぞれの多様な選好動機や意図に見合った金融商品や金融サービスそして金融機関を選択できるように多様な選択肢が準備されており, 自分に合ったあるいは自分の意図した金融商品や金融サービスそして金融機関を容易に選択できる状況にあることを示す。 「適合する」とは,多様な金融商品や金融サービスそして金融機関を自分の意思で自由に選択できること,そして実際に提供された金融商品や金融サービスが個々人の金融サービス選択上の多様な目的,意図,ニーズと合致していること,さらに購入した金融商品や提供された金融サービスの利用から実際に満足を得られたことを表す。 適合性の原則は,後に述べる金融商品の勧誘・販売時点に限定されるものではなく,金融利用の選択時点,金融利用の契約時点,金融利用の開始時点,金融利用中そして利用完了後にもその検証に適用される原則である。 原則名では柔軟性について述べられ,定義文では適合性について語られており,柔軟性と適合性が補完し合う関係にあることが示されている。一般の有形