096号

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104 高知論叢 第96号意味をもっておるのでしょうか。私がいまお聞きするところによれば,保安処分というのは,何も好き好んで病人をなおしてやるという,さようなものではないのでして,やはりこと犯罪に関係するも....

104 高知論叢 第96号意味をもっておるのでしょうか。私がいまお聞きするところによれば,保安処分というのは,何も好き好んで病人をなおしてやるという,さようなものではないのでして,やはりこと犯罪に関係するものですから処分を規定しているのです。何もただ将来またはそのようなものの病気をなおしてやるというのならば, これはまたもっと医学的,あるいはその他の施設の十分整った行政的のあるものを設けたほうがいい。そちらのほうに回してもいい。私などの予想しておりますのは,この保安処分というのは,刑法上犯罪に関係してくる,その意味で将来の犯罪を防ぎたいために,そのための治療なのだという考えをもっておるのです。……私は,明らかに独断ですけれども,もちろん司法系統のものだ,こう思っておるのですが,……ただ名前だけの違いなのか。」56「J 委員 ……ただ卒直に申しますと,私としては,これは厚生省でいくべきものではないと思っているのです。そういうことなら,精神衛生法があるのですから,何も刑法のほうでわざわざ干渉する必要はないのです。……はっきり言うと,むしろ,これは法務省系統に属すという線を出したほうがいいのではないですか。」57「F 委員 ……これは刑ではないのです。今度突如として保安処分というものが出てきたわけです。そこで,保安処分なら,いまJ 委員のおっしゃるように,これは刑とか刑事責任の関係ではないのですから,本来なら,気違いを扱う厚生省の所管だと思うのです。だから,松沢病院に預けるということを刑法の中でおきめになってもいいわけなのです。ところが,いや,そうではなくて,刑事責任はない。刑はもう終了しておるのだ,おるのだけれども,危険性があるのだ,だから,これは法務省の所管にしようということで,ひとつ入れ場をお考えになるのならば,やはり監獄法の,いわゆる監獄の種類のところへ……。」58 ここでの厚生省所管か法務省所管かとの議論59は,その後のA 案かB 案かの56 法制審議会刑事法特別部会第九回(第一日)会議議事速記録90頁以下。57 法制審議会刑事法特別部会第九回(第一日)会議議事速記録92頁。58 法制審議会刑事法特別部会第九回(第一日)会議議事速記録92頁以下。59 イ案第110条「精神の障害により,第一五条第一項に規定する能力がなく,又はその能力の著しく低い者が,禁固以上の刑にあたる行為をした場合において,将来再び禁固以上の刑にあたる行為をするおそれがあり,保安上必要があると認められるときは,治療処分に付する旨の言渡をすることができる。」ロ案B 条「精神障害により,第一五