096号

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保安処分に関する一考察105議論においても,そのまま対立点として残ることとなる。 H 部会長から,これは一応の要綱試案であるから,本格的な審議は次回に行なう旨,述べられた。(9)法制審議会刑事法特別部会第13....

保安処分に関する一考察105議論においても,そのまま対立点として残ることとなる。 H 部会長から,これは一応の要綱試案であるから,本格的な審議は次回に行なう旨,述べられた。(9)法制審議会刑事法特別部会第13回会議(第2 日)(昭和43年5 月23日) 第13回会議では,準備草案において「禁断処分」とされていた部分の第 3 小委員会における審議の報告がなされている。治療処分と同様,ここでもイ案とロ案という二つの要綱試案が提出された。なお,「禁断処分」に代えて,イ案では「除癖処分」,ロ案では「習癖矯正処分」の語が用いられている。「C 第三小委員長 第三小委員会の関係で中間報告を申し上げます。 前に, だいぶ古いことでございますが, いわゆる治療処分につきましては, 御報告が済んでおります。その後,準備草案では『禁断処分』といっている部分についての審議を重ねまして,その後なお進行しておりますが,……。ごらんのごとく,二つの案,イ案及びロ案というのがございます。この二つの案があることは,治療処分におけると同様でございます。その両方を御説明申し上げます。 両案は,共通といってもいいような形になっているものもございますけれども,基本的には思想が違うのでございます。イ案のほうは,ごく大ざっぱに申しますと,保安処分の『保安』ということにやや重点が強くおかれているのに対して,ロ案のほうは保安よりも広い意味の『治療』―治療処分とは申しませんけれども,中毒者等のくせを直そうということですから,広い意味では治療といっていいかと思いますが―その治療的な面がイ案よりも強く出ているのがロ案でございます。」60「J 委員 最近,私ある専門のお医者さんから,どうしてこういう考え方になっているかという抗議ですか,反省を求めるような書面が参りました。実は,正直に申条第一項に規定する能力のない者又はその能力の著しく(相当に)低い者が,禁固以上の刑にあたる行為をした場合において,将来再び禁固以上の刑にあたる行為をするおそれがあり,その防止のため治療及び看護の処置を必要とすると認められたときは,治療処分に付する旨の言渡をすることができる。」吉川経夫『吉川経夫著作選集第3巻保安処分立法の諸問題』(法律文化社,2001年)315頁以下参照。60 法制審議会刑事法特別部会第十三回(第二日)会議議事速記録111頁以下。