096号

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108 高知論叢 第96号案のB 条には,三行目ですが,カッコ内に『相当に』ということばが入っております。これは言うまでもなく,『著しく』というのでは適用される場合が狭過ぎるという考えをとる者の意見として出た....

108 高知論叢 第96号案のB 条には,三行目ですが,カッコ内に『相当に』ということばが入っております。これは言うまでもなく,『著しく』というのでは適用される場合が狭過ぎるという考えをとる者の意見として出たのでありまして,『相当に』とすることによって対象者の範囲を広げようと,ことに精神病質者に及ぼしやすくしようという考えがここに出ているわけであります。先ほど申しましたように,『相当に』としなくとも,おのずから若干いままでの限定責任能力者よりも広くなるであろうという予想もあるのでありますけれども,そこをもっとはっきりさせるのが,『相当に』という文言にする案でございます。」65「次に,イ案第一一二条,ロ案E 条に移ります。これはイ案,ロ案の両案とも大体同趣旨でありまして,少し条文の文言は違っておりますけれども,いずれも結局は『三年』を第一前提として,それから更新をいたしまして七年に至るということろまでは全く同一であります。違うのは,イ案のほうではただし書きが第二項にございます。ただし書きによりますと,『死刑又は無期もしくは短期二年以上の懲役にあたる』という重大な犯罪に該当する行為をするおそれが顕著であるものについては,これは七年で限らない,それ以上のことがあり得ると,こういうわけであります。結局,無限になる可能性があり得ると,こういうことであります。更新がさらに繰り返され得ると,これがイ案の特色であります。ロ案のほうは,第三項をごらん願いますと,どのような場合についても『通じて七年をこえることはできない。』と,こういうことでありまして,人権保障という点では,ロ案は頭打ち七年ということを厳格に守ろうと,イ案のほうは,七年では片のつかない保安の必要のある者が少なくとも例外的に存在する以上,ただし書きを設けてそれに対する処置を考えようと,こういうことであります。もっともロ案におきましても,七年たったならば全く自由になってしまうかというと,必ずしもそういうわけではないのでありまして,危険性があれば,いわゆる措置入院の道はなお存するということになるわけであります。」66「C 第三小委員長 最後のほうへきまして, 執行の順序の問題, すなわちイ案第一二〇条,ロ案N 条というところにまいります。イ案のほうはごらんのごとくイ案がさらにこの点で二つに分かれております。上段は刑を先執行,例外的に保安処分65 法制審議会刑事法特別部会第十五回(第二日)会議議事速記録 6 頁。66 法制審議会刑事法特別部会第十五回(第二日)会議議事速記録 8 頁。