096号

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112 高知論叢 第96号存じます。」72「さて,両案の特徴をこれから申し上げますが,すでに大きな特徴といたしましては,かねて前回も申し上げましたように,A 案のほうは題名からも明らかなように保安面がやや強く出....

112 高知論叢 第96号存じます。」72「さて,両案の特徴をこれから申し上げますが,すでに大きな特徴といたしましては,かねて前回も申し上げましたように,A 案のほうは題名からも明らかなように保安面がやや強く出ておる,これもややでございます。まあ,『やや』という表現は人によって『やや』ではないとおっしゃるかもしれませんが,ただ両方とも保安を考えないわけではございません。また両方とも『治療』あるいは『治療処分』ということばがありますから,もう少し広く言えば,B 案に言われる『療護』と言われる医療的な面も考えております。『保安』と『療護』と,両方いずれの面も考えておりますけれども,ややA 案のほうは『保安』面を強く,B 案のほうは『療護』面を強く考えたと,こういうことが全体としては大きな思想的な差であろうと存じます。」7「3 次に第一一〇条ですが,第一一〇条は『治療処分』に関する規定ですが,ここはB 案と大差あるかどうかわかりませんが,表現の上には大きな差が出ております。それはまん中よりあとのほうですが,『……禁固以上の刑にあたる行為をするおそれがあり,保安上必要がある……』ここであります。ついでにB 案もちょっとごらん願いますと,その『保安上必要がある』というA 案のほうに書いてある部分は,B 案第一一〇条のほうでは,『……行為をするおそれがあり,その防止のため治療及び看護の処置を必要とする……』,こういうことばになっております。つまり『保安上必要がある』というのがA 案の考え,B 案のほうは『防止のため治療及び看護の処置を必要』というふうな考えで,ここのところが大きく違っております。 最初に申しましたように, 保安面をやや強く出してあるのがA 案。療護面を強く出してあるのがB 案と,こういうことになります。いずれが対象が広くなるだろうかというようなことについていろいろ議論いたしましたが,ある見方からすれば,A 案のほうが対象者が広くも読めるが,他の意味からすれば,逆にこちらのほうが狭くも読めるというようなことで,少し範囲が違うかもしれないが,いずれが対象が広いかということについては必ずしもはっきりいたしません。『保安上必要がある』というのは,その条文の読み方として,そういう『将来再び禁固以上の刑にあたる行為をするおそれ』があって,そこへさらにしぼりをかけて,『保安上必要があると認められるとき』に処分の対象にするという,こう読みますと,かなり狭くな72 法制審議会刑事法特別部会第十九回(第二日)会議議事速記録70頁以下。73 法制審議会刑事法特別部会第十九回(第二日)会議議事速記録72頁。