096号

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114 高知論叢 第96号によれば,精神衛生法の措置入院というようなことを精神衛生法によって行なうことが可能であるから,それでよろしいと,こういう考え方であります。A 案のほうでは,措置入院では十分の保安がで....

114 高知論叢 第96号によれば,精神衛生法の措置入院というようなことを精神衛生法によって行なうことが可能であるから,それでよろしいと,こういう考え方であります。A 案のほうでは,措置入院では十分の保安ができないということを考えておりますので,七年で頭打ちにして,あとは病院の精神衛生法の措置にまかせるというのでは,最も危険なものがゆるやかな戒護のもとにおかれるという矛盾を来たすというふうに考えておるわけでありまして,ここがA 案とB 案との大きな違いとなっております。 次が『禁絶処分』でありますが,……B 案第二項をごらんくださると,……『薬物に対する依存性』ということばが使われております。英語のデイペンデンスでありますが,これが精神医学界においては,あるいは薬理学界においては,こういう種類のものに『依存性』ということばを使うことにここ数年来大体なってきておるというので,そのことばを,いいことばだからこれを採用してやろうというのがB 案の考え方でありますし,A 案のほうでは,どうもそれほどこのことばは安定していないのではないかと,しかもやや医学や薬理学のほうに片寄り過ぎた言葉であると思うので,使わないほうがよかろうというのがA 案のような規定となったわけであります。 なお,B 案の『依存性』ということばを使えば,いわゆる習癖になっていなくとも処分の対象にできるが,A 案のようにいたしますと,『習癖』ということが表にうたわれておりますので,習癖化しなければ対象にできないという不便があるというのが,B 案のほうからA 案に対して異を立てている理由であります。」75「C 第三小委員長 それからB 案の大きな特徴として,第一一五条の二の,いまの条文ですが,第二項をごらんください。これはA 案にはない規定でございます。要するに行為のときには責任無能力ではなかったけれども,その後責任無能力になったと,裁判するまでにですね。裁判のあるまでに責任無能力―裁判時には責任無能力になっておったという場合に,その規定を適用して,治療処分だけを言い渡すことができると,こういう規定を置いたわけであります。 これは特に御注意願いますのは,第二項の初めのほうに『第一五条第一項に規定する能力の著しく低い者が』とあります。いまのことばで言えば心神耗弱というこ75 法制審議会刑事法特別部会第十九回(第二日)会議議事速記録77頁以下。