096号

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保安処分に関する一考察115とであります。それで行為時心神耗弱であった者が,裁判時に心神喪失になっていた場合の処置をこれは考えているわけです。行為時に責任能力があって,裁判時に無能力になったのはこの対象....

保安処分に関する一考察115とであります。それで行為時心神耗弱であった者が,裁判時に心神喪失になっていた場合の処置をこれは考えているわけです。行為時に責任能力があって,裁判時に無能力になったのはこの対象になっておりませんので,そこを御注意いただきたいと思います。 ただ,A 案のほうではこのような場合どうするのか, 規定がないのであります。規定がないのですが,A 案ではおそらくその場合に一応有罪を言い渡すか,つまり行為時の能力で考えて有罪を言い渡すか,つまり心神耗弱ですから,有罪を言い渡すか,そうでなければ公訴を取り消して,保安処分だけの,独立の保安処分の手続に移るという道を考えるということになるだろうと思いますが,B 案はこのような規定がここに置かれておる, こういうことになります。」76「……なお審議の過程で特にB 案につきまして,第一一〇条の対象者について問題になりましたのは,対象者が,いわゆる限定責任能力者,または責任無能力者を治療処分にすると,そういう考え方をきょうお示しした案では取っております。しかし前回のときには,もう少し広げる考え方がB 案には出ておったわけであります。それは『著しく』低いというのではなくて,『著しく』ではない。つまり是非善悪の弁別力とか,それに従って行動する能力が著しく低いというのがいまの考え方であります。責任能力がとにかく限定されているかなくなっているか,それを必要とするというのが,今日お示ししたA 案,B 案ともにそうなっておるのですが,前回のときにはB 案はもう少し広くなっておる,『著しく』ではなくて,『相当に』低い者にしようと。いまの観念で言えば責任能力者のうち,若干は療護処分の対象になる,治療処分の対象になる,こういう考え方を取っておったのですが,これは部会の御意向も対象は限定責任能力者までに限るべきである,それ以上に能力者のうちの限定能力にかなり近いもの,そこまで処分の対象にするのは相当でない,という御意見が多数であったことなどをも尊重いたしまして,この案からは削ることになった,なくなっております。」77「K 委員 ……私としては,やはりB 案のほうが対象がかなり広いというように,かなり含まれてしまうという,たとえてみると精神衛生法の第二九条の,大体趣旨もこれほどではございませんが,これに近いような対象者になってまいりますので,76 法制審議会刑事法特別部会第十九回(第二日)会議議事速記録84頁以下。77 法制審議会刑事法特別部会第十九回(第二日)会議議事速記録87頁。