096号

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保安処分に関する一考察117もし精神衛生法の措置が現在のままでは十分でなければ,可能な限度で精神衛生法の改正でもしていただきまして,そちらのほうでやっていただきたい。そういう場合には検察官といたしまして....

保安処分に関する一考察117もし精神衛生法の措置が現在のままでは十分でなければ,可能な限度で精神衛生法の改正でもしていただきまして,そちらのほうでやっていただきたい。そういう場合には検察官といたしましては,事件を不起訴にいたしまして,精神病院に送る手続をいたしますと,そういうことを前提としまして,それでもどうしてもだめな場合にだけこちらで引き受けましょうというのが,まあA案の基本的な立場でございます。」81「H 部会長 ……骨格の点で,やはり骨格というか,構造というか,ちょっとAB両案の中にはかなり根本的な違いがある。半ばイデオロギー的であって,実際にはそれほど違いはないかもしれませんけれども,……イ案のほうが処分の対象者が狭くなるという一応の見通し,……私はそうなるのではないかというふうにひそかに思っております。」82「H 部会長 十分に御討議を願いたいのでございますが,時刻もだんだんと移ってまいりましたし,また次の機会というのも何でございますから,ここで一応A 案にするか,B 案にするか御意見を伺いたいと思いますが……」83「M 幹事 第三小委員会の第十六章の参考案につきまして,基本的な方向としてA案に御賛成の委員は一六名でございます。 これに対し,B 案に御賛成の委員は六名でございます。 ただいまの委員総数は二十四名でございまして,A 案御支持の意見が多数でございます。」84 以上の審議過程から明らかな通り,A 案が保安重視,B 案が治療重視との「イデオロギー」の対立が大きな対立点であった。しかしながら,対象者の範囲については,委員によってはB 案の方が広いのではないかとの危惧が持たれていたものの,結局この点は実際の解釈により論者によって異なることが確認されるに留まっているように思われる。81 法制審議会刑事法特別部会第十九回(第二日)会議議事速記録110頁。82 法制審議会刑事法特別部会第十九回(第二日)会議議事速記録112頁。83 法制審議会刑事法特別部会第十九回(第二日)会議議事速記録118頁。84 法制審議会刑事法特別部会第十九回(第二日)会議議事速記録118頁。