096号

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126 高知論叢 第96号の関連を保たせながら,これに拘束しないで治療していくということでなければならない,そういうような治療法を現にそういう人たちはやっておるというのであります。新しい精神病の治療の方法は....

126 高知論叢 第96号の関連を保たせながら,これに拘束しないで治療していくということでなければならない,そういうような治療法を現にそういう人たちはやっておるというのであります。新しい精神病の治療の方法は,そういうような社会,家族とのかかわりの中において,決して自由をはく奪して,狭いおりの中に閉じ込めるのではなくて,自由にしながら治療していくというしかたであるというのが正道なのです,それに対してあなたたち法律家は,精神病者をおりの中に閉じ込めようとする,これは,新しい精神病学を開いていこうとする場合に,非常に大きな否定というように受け取らざるを得ないというようなことを言うのであります。 そういたしますと,予測についても,確実な予測はなかなかたちがたい,そして,精神障害者の治療についても,施設に収容し,閉じ込めては,なかなかその効果は上がりにくい,というふうに専門家が言われる。それに対して,われわれ法律家が,なおあえて保安処分を推進することは一体どういうことであろうか。私どもが聞かされた,あるいは読みましたのは,きわめて少ない人々の話であるし,決議や若干の書類でありますから,決してこれは,日本精神病学界の本流とか通説とか,そういうのではないのもしれません。しかし,とにかく精神神経医学界で,保安処分反対の決議をして,いま申し述べたようなことが,その決議の中に書かれておるということは事実であります。こういうことを無視して,保安処分という制度を推進していくべきかどうか,私が消極的にならざるを得ないと申すのはそういうところでございます。」101「O 幹事 私は,東京弁護士会から選出されまして,幹事として三十八年から刑法改正作業へ参加させてもらったわけなのです。…… 東京弁護士会は,何でも反対する会という評判をされておるようでございます。…… ご承知の通り,昭和四十一年の十一月三十日に,中間意見というものを発表しまして,…反対の意見を表明しておるわけなのです。……いったんそういう意見を発表していながら,単に,反対のための反対だというようなことがあってはならんわけなので,私が,その段階で責任を持ちまして,なぜ反対するのか,そういう裏づけを当然弁護士会としてやらなければならない,そんなことで,それ以来ずっとやっ101 法制審議会刑事法特別部会第二十九回会議議事速記録103頁以下。