096号

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保安処分に関する一考察129保安処分というものが,罪刑法定主義の場で―要するに法定化したが,それだからといってすぐに刑法の中へ取り入れられるものかどうか。そういう疑問を痛切に感じておるわけなのです。 で....

保安処分に関する一考察129保安処分というものが,罪刑法定主義の場で―要するに法定化したが,それだからといってすぐに刑法の中へ取り入れられるものかどうか。そういう疑問を痛切に感じておるわけなのです。 ですから,まず保安処分の法的地位,その地位からして,保安処分を刑法に導入するかしないかということが大問題ではないか―これは私の考えです。……それでは規定が,これがもし実際に成立したとした場合,やはりこの部会が持つ,法の制定者側,あるいは提案者側の立場と,それからやはり人権を保護していこうという使命といいますか,弁護士法の第一条の目的の趣旨,そういう立場で実務を踏まえての考えを出すということは,やはり自然にとる角度やら何やらが違ってくるのは当然ではないかと思います。 ……もしあれができたときには手続面はどうなるかということを非常に詳しく論議し合ったわけです。もちろん,この部会では刑法法典の改正が任務であって訴訟法のほうは関係するわけでないわけなのです。ですから,部会としましてはこの第二次参考案に要綱として発表したのも,国民が,あるいは在野で,その手続がどうなるかということを心配していることに対して, 一つの将来への予想を, こうなる,こうすべきだろうということを発表したのでございますけれども,これだけでは,在野法曹としましては非常に疑問がたくさんある。……保安処分ができたときには,人権保護という立場からたいへんな心配があるということを確認しておるわけなのです。……一体A 案にしましても,B 案にしましても,保安処分というものが,結局は,禁固以上の刑にあたる行為をした者が,再びまた禁固以上の刑にあたる行為をするおそれがある,そして保安上必要である場合,この三つの要件で入るわけですけれども,犯罪ですと過去の行為の責任を処罰するのであるが,保安処分は将来の危険性,そういうものをとらえて,人を長期間看護,治療という名でもって拘束をする。その拘束ということから申し上げますと,それは精神障害者でありましても,やはり人格,人権というものを持っている。それをもしも将来回復の見込みがないようだとなりますと,これは更新によりまして一生そういう施設の中に入れられてしまう。それだけに,これはまず保安処分の最大の目的であります看護,治療ということについてどういうあれがあるのか。そういう具体性というものはない。……医療刑務所の実態等を考えてみましても,医療刑務所自体,すでにそういう,