096号

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保安処分に関する一考察131もう今日ではいわれておりますが,実際,予防拘禁といったようなことで,いつまでも拘禁しておく,それは何のためかというと,やはり洗脳するまで,そういう方法に利用されておった。そん....

保安処分に関する一考察131もう今日ではいわれておりますが,実際,予防拘禁といったようなことで,いつまでも拘禁しておく,それは何のためかというと,やはり洗脳するまで,そういう方法に利用されておった。そんなことからすると,この保安処分のほうも何となく将来の危険性を,それを治安の場からとらえようという考え方に,従来の保安処分思想と変わっていないではないかという考え方もあったわけなのです。そういうこともありまして,とにかく刑法改正というものは,国の治安の場でもある,そのかわり刑法は言うまでもなく刑罰で,人の自由を拘束する制裁,それを強制力を持っておる刑法,そうだとしたら,もっとこれはみんなの,特に少なくとも在野法曹の意見を取り入れなければならない。要するに,もっと弁護士会のほうの意見を入れてメンバーの中にもっとたくさん入れて,少なくとも法曹一元の理想のような場で討議したらよかったのではないか。そこへいくと弁護士会としましては何か外に置かれたような感じがして,その点でたいへん在野法曹の意思の取り入れ方,それがなかったことに対しまして不満を持っておるようなわけなのです。」105「P 幹事 幹事の席からはなはだ僭越でございますが,最後の機会でございますので,一言だけごく簡単に申し上げたいと思います。……刑法改正案の最大眼目の一つとされておる保安処分の問題につきまして,私はもともと,参考案の基礎となりましたA 案に対しましては,第三小委員会の幹事としても反対の意思を表明しておりましたけれども,さらにその後,精神神経医学界の意見がどのようにして成立したかということについては,いろいろな問題点はあろうと存じますけれども,保安処分,特に草案の規定しているような治療処分あるいは禁絶処分というような,医療的性格を多々持った保安処分を適用する場合に,その運用にあたって非常に大きな役割りをそれに託さざるを得ないところの精神神経医学界が,公式の立場として絶対反対という線を打ち出してきたということは,われわれ法律家としては,一応謙虚に耳を傾ける必要があるのではないか。ところが現在できております案は,ご承知のように,もちろん時期の関係もございます。しかしこういう点が反映していないことはいうまでもございません。……現在は,こういう形での全面改正をやるということに,はなはだ不幸にして不適当な時期ではないか。105 法制審議会刑事法特別部会第三十回会議議事速記録 3 頁以下。