096号

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132 高知論叢 第96号 私は,Q委員と同様,十五年間にわたりまして,この大事業の末席に列することが許されまして,たいへん多くの勉強をさせていただきました。にもかかわらず,最終的にこういう反対意見を申さな....

132 高知論叢 第96号 私は,Q委員と同様,十五年間にわたりまして,この大事業の末席に列することが許されまして,たいへん多くの勉強をさせていただきました。にもかかわらず,最終的にこういう反対意見を申さなければならないということは,まことに残念に存するわけでありますが,最後に,学者としての自分の態度は,一応,明らかにしておく必要があると思いましたので,僭越をも顧みず一言申し述べさせていただきます。」106「C 委員 ……保安処分の問題ですが,私は,たまたま,保安処分のことを担当しております小委員会に属しておりましたので,特に感想がありますが,小委員会の空気としても,ことに検察官のほうから委員におなりになっている方のご意見としても,こういうものを刑法の中にぜひつくりたいなどとはおっしゃっていないのであります。しかしながら,保安処分の対象になっているような犯罪性のある人たちに対して,どうしたらいいのか。精神系医学界のほうで,十分な措置をしてくれて,安心がいくというような状態になれば,もちろんそれでけっこうだと思うのでありますが,そうなっていないので,それほど積極的ではないけれども,こういう案を考えざるを得なかったというのが経過であると理解いたしております。その意味で,もちろん保安処分の規定をも含めまして,参考案のような形をとるのは,現下においては,当然の経過から得られる結論であろうと考えます。」107「R 委員 ……保安処分採用の面は,前回,G 委員からも,犯人の今後における危険性という点で,精神神経医学界ではむずかしいという議論がある,あるいは拘束されていて治療の効果は上がらないといったような反対の議論もございましたが,何としましても,実務の面におきまして,精神障害者の犯罪というのは,ますますふえておりますし,ただいま調べさせたところでは,昭和四十四年以降,東京地方裁判所で心神喪失による無罪が十一件も出ておりますし,検察の段階では,判決が心神喪失になるであろうという予測がたったものは起訴しておりませんが,それも相当の数にのぼっております。しかも,われわれの立場において,将来そういう人たちがどういう危険なことをするかもわからないという危惧の念を持つような犯人が少なくないという現状におきまして,現制度のもとで,たとえは精神衛生法による措置入院というようなことだけでは,十分に私どもの一般国民に対しての責任と106 法制審議会刑事法特別部会第三十回会議議事速記録46頁以下。107 法制審議会刑事法特別部会第三十回会議議事速記録49頁以下。