096号

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134 高知論叢 第96号いは幹事の方からご指摘のあった保安処分に対する精神医学者の非常に強い反対意見があるという事実でございます。元来,第三小委員会で保安処分の審議を始めた際には,先ほどC 委員からご指摘が....

134 高知論叢 第96号いは幹事の方からご指摘のあった保安処分に対する精神医学者の非常に強い反対意見があるという事実でございます。元来,第三小委員会で保安処分の審議を始めた際には,先ほどC 委員からご指摘がありましたように,現在,治安維持の必要上保安処分が必要であるというふうな意見は,確かに委員,幹事の方からは特に述べられなかったように考えます。ただ,保安処分の必要性ということにつきましては,従来,外国に立法例がある,それから,仮案以来の伝統であるというようなことのほかに,現在の精神衛生の現状,あるいは犯罪現象上,保安処分が必要であるというふうな点について,審議が行なわれたように思いますが,その際に最も参考にしたのは,特に精神衛生行政に携わっている現場のお医者さんの方,あるいは学界の方々,あるいは厚生省関係の方々のご意見であったように思いますが,それらのご意見は,私の記憶するところでは,ことごとくが保安処分に賛成であったというふうに思います。したがいまして,私どももそのような意見を前提にして,保安処分を立案いたしました。ところが最近になって,精神神経医学会の総会で,公的な反対決議がなされたということもありますし,また,私が個人的に知っております何人かの精神科医に聞いてみたところが,いや,保安処分というものについてかつては少し違ったイメージを持っていた,こういうのではいかん,というふうな反対意見を聞くような状況でございます。これは,私にとりましては,一種の事情変更ではなかろうかという気がしてならないわけでございます。……保安処分制度そのものについても,もう少し考え直す必要もあるのではないかというふうに私自身も思うわけでございます。」110「H 部会長 ……第一点,『刑法に全面的改正を加える必要があるか』,あると考えるお方,挙手を請います。」111「M幹事 採決の結果をご報告申し上げます。諮問第二十号のうち,『刑法に全面的改正を加える必要があるか』という点につきまして,あるという意見の委員は二十七名でございます。ないという意見の委員は一名でございます。ただいまの委員総数110 法制審議会刑事法特別部会第三十回会議議事速記録72頁以下。111 法制審議会刑事法特別部会第三十回会議議事速記録88頁。