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12 高知論叢 第96号を妨げないようにするための重要な原則である。EU(欧州連合)においてはすべての金融商品において不招請勧誘は原則禁止とされている。米国では連邦拒否リストに個人が登録しておけばその人を....

12 高知論叢 第96号を妨げないようにするための重要な原則である。EU(欧州連合)においてはすべての金融商品において不招請勧誘は原則禁止とされている。米国では連邦拒否リストに個人が登録しておけばその人を勧誘しただけで販売業者は罰金を科せられるのである。 金融商品取引法第40条において初めて,適合性原則は次のように盛り込まれた。金融機関(金融商品取引業者)は次のようなことにならないように業務をしなければならなく,これに違反すれば業務改善・停止命令などの行政処分が下される。「金融商品取引行為について,顧客の知識,経験,財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けることとなっており,又は欠けることとなるおそれがあること」。 金融商品販売法で顧客勧誘方針に盛り込まれた適合性原則は,「顧客の知識,経験,財産の状況」だったが,金融商品取引法および改正金融商品販売法においてはこれが改善され,「金融商品取引契約を締結する目的」が加えられた。要するに顧客の投資目的や利用目的にふさわしい適切な金融商品を勧誘・販売しなさいということになったのであるが,この当然のことがようやくにして原則に盛り込まれたのである。 そして金融商品取引法と改正金融商品販売法において,金融機関が顧客に説明しなければならない重要事項の範囲と内容は広げられ,金融商品販売法のときの「元本割れのリスクとその要因」だけでなく,リスクを引き起こす要因と指標,金融商品の仕組みもわかりやすく説明しなければならなくなった。 さらに注目すべきは,これらの重要事項の説明の程度と方法についての規定が次のように新設されたことである。「説明は,顧客の知識,経験,財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして,当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度によるものでなければならない。」。以前の金融商品販売法が求めていた説明程度は「一般多数が理解できる程度」であったのが改善され,説明を受ける当事者自身が理解できるものでなければならないということになった。このことも金融ユニバーサルデザインの適合性原則からすればしごく当然のことであるが,これがようやく法律に明記されたのである。 しかし法施行後も,高額の手数料を請求されたとか,うその説明をされたな