096号 page 145/170

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スティーブン・リーパーさん講演会143スティーブン・リーパー講演録世界反核平和運動最新報告はじめに――グローバルな 2 つの課題――　ショッキングな話から始めたいと思います。　今，人間にとって，2 つの大きな....

スティーブン・リーパーさん講演会143スティーブン・リーパー講演録世界反核平和運動最新報告はじめに――グローバルな 2 つの課題――　ショッキングな話から始めたいと思います。　今，人間にとって，2 つの大きな課題が出ています。1 つは，どうやって我々は暴力をコントロールできるか，という問題です。核兵器は，一瞬にして我々を絶滅する危険な武器ですが，そういう武器は核兵器だけではないですね。いろんな兵器・武器があります。アメリカがベトナムで使った枯葉剤があるし，アメリカがイラクで使った劣化ウラン弾もあります。そうした毒性の強い兵器を使うことで，我々はこの地球を住めない惑星にすることができます。実は，その方向に進んでいます。ですが，核の恐ろしさは，核兵器の使用だけにとどまりません。　1992年に，旧ソ連のゴルバチョフ大統領が広島を訪れた際，彼は「もう人間は戦争できない」と非常に強く言われました。広島の人たちにすれば，1945年［ 8 月 6 日］からそれくらいのことは知っていたのですが，ゴルバチョフが言った理由は，少し違っていました。「人間はなぜ戦争をやめないといけないか」というと，彼の頭の中には，原子力発電所があったんです。　これは，チェルノブイリ原子力発電所の事故の後の話です。皆さんは若いから，覚えていないでしょうね。1986年の事故のこと，覚えていますか？ チェルノブイリとは，旧ソ連で原子力発電所のあった場所ですが，世界で最も悲惨な事故が起きたところでした。原発の一部が爆発して，世界中に放射能がばらまかれたんです。日本でも，大阪のホウレンソウから，放射能が検出されました。ある意味では，世界中を汚染した事故でした。この事故により，チェルノブイリの周囲200平方マイルのところには，誰も人が住めなくなってしまいました。　日本は，この狭い国土の中に，およそ50カ所の原子力発電所があります。そ