096号

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スティーブン・リーパーさん講演会145終わりということです。もう1000年以上,欧米諸国が世の中をコントロールしてきました。一番のパワーを持っていました。しかし,(いろんな人がいろんな意見を出していますが)....

スティーブン・リーパーさん講演会145終わりということです。もう1000年以上,欧米諸国が世の中をコントロールしてきました。一番のパワーを持っていました。しかし,(いろんな人がいろんな意見を出していますが)今後20~50年の間に,地球のパワーの中心が,アメリカとヨーロッパから,中国とアジアに移転すると言われています。「パワーシフト」と言いますが,これが間違いなく起こります。そうすると,世界的にはどこがパワーを握るようになるのか。  1 つの大国が衰退すると,パワーバランスが崩れてきます。歴史を振り返ると,こうした時期に,人間が暴力に走り出す恐れが高いです。アジアの歴史はそんなに詳しくはないですが,例えば,ローマ帝国の後,スペイン帝国の後,オランダ帝国の後,そして大英帝国の後,何十年もしくは何百年にわたってひどい暴力がもたらされました。大英帝国が終わった時とは,植民地時代の終わりでした。この時期に,力関係のバランスが崩れてきて,第一次・第二次世界大戦が始まりました。何千万人もの人が犠牲になりました。日本のような,アジアで非常にお金持ちだった国が,ゼロになったんです。第二次世界大戦によって。 日本では,「今は戦後だ」と思ったり,考えたりする人が非常に多いですが,僕はそうは思いません。今の時代は,第二次世界大戦の「戦後」ではなく,第三次世界大戦の「戦前」です。もし僕が,1930年とか1931年という時期にこの場所にやって来て,皆さんに対して「これから戦争が始まるぞ。戦争が終わったら,あなたたちの国はまったくの灰になるぞ。草を食べる生活を送るようになり,餓死する人も出るぞ」と言ったら,誰も僕のことを信じてくれなかったと思います。ところが,今,僕はそれと同じことを考えています。今の状況,今のやり方,今何も変わらなければ,我々はゼロに陥ってしまうと思います。 なぜかというと,一国支配が終わろうとしているだけではなく,安いオイルの時代の終わりでもあるからです。「ピークオイル」7)といわれますが,これからはオイルを大量に採掘できなくなり(もう汲み尽くしたという人もいるんで7 「) ピークオイル」とは,世界の石油埋蔵量が頭打ちを迎え,生産量がピークに達した後,減少に転じることをいう。最重要エネルギー源である石油生産の行き詰まりが論議を呼んでおり,需給ギャップに伴う石油価格高騰や政情不安,資源紛争が懸念されている。