096号

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スティーブン・リーパーさん講演会149ちもいるし,核兵器によって世界をコントロールできると思う人も一方でいます。また,核兵器があるから,自分は安全だと思う無知な人も,中にはいるわけです。だから,アメリカ....

スティーブン・リーパーさん講演会149ちもいるし,核兵器によって世界をコントロールできると思う人も一方でいます。また,核兵器があるから,自分は安全だと思う無知な人も,中にはいるわけです。だから,アメリカをはじめ核保有国がそう簡単に核廃絶に向かうことにはならないと思います。 先月[2009年 5 月],ニューヨークで開かれたNPT 再検討会議の準備委員会に行ってきました。2010年に予定される再検討会議のための準備委員会だったわけですが,そこに参加してみると,皆さんが今座っているような部屋[講演会場]の中で,皆さんのように各国の代表が勢揃いしていたのですが,各国の代表が次から次へと壇上に上がって,オバマ氏のプラハでの演説を抜粋して,「自分の国も,核兵器のない世界のために闘います」「協力しましょう」という演説ばかりでした。日本の樽井大使は,「全ての国が2010年の再検討会議が成功するよう協力しています。アメリカからエジプトに至るまで」と僕に言いました。だから,もう大丈夫ではないかと思うかもしれませんが,いくつかの問題が残っています。一番大きな問題は,核保有国が,今でも,期限を区切った約束をしてくれないことです。 NPT は,今から40年前に,核兵器をコントロールするために作られた条約です。なぜ作られたかというと,核保有国がアイデアを出したんです。なぜそうなったか。 まず,アメリカが原爆を製造し,それを日本で使用しました。1946年,オッペンハイマー博士(原爆の開発者)が,原爆を落としたトルーマン大統領のところで話し合いをした際,トルーマンがオッペンハイマーに「ソ連が核を保有するまでに一体どれくらいかかるでしょうか」と質問したそうです。オッペンハイマーは「全然わからない(No idea)」と答えたそうですが,トルーマンは「私は分かっています。ソ連は核を決して持たない。我々が保証します」と語ったそうです。だから,トルーマンは当時,アメリカが自らの核兵器で全世界をコントロールし,ソ連が核を保有できないように動けると思っていたわけです。 ところが,その 3 年後,ソ連が核実験に成功しました。それに続いて,イギリスとフランスも比較的早く核実験に成功しました。さらに,1964年には,中国が核兵器を開発しました。これは,当時は大変なことだと受け止められまし