096号

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スティーブン・リーパーさん講演会151 ところが,2005年の会議では,アメリカはブッシュ政権に交代していて,しかも次のような強硬な姿勢をとったんです。「我々は,2001年の同時多発テロで,対テロ戦争をやってい....

スティーブン・リーパーさん講演会151 ところが,2005年の会議では,アメリカはブッシュ政権に交代していて,しかも次のような強硬な姿勢をとったんです。「我々は,2001年の同時多発テロで,対テロ戦争をやっているから,事情は変わった。以前に決めた約束は,今や関係ないものとなった」と。そして,「軍縮についての話はしたくありません。核不拡散についてだけ話します」という立場をとったわけです。こうしたアメリカの態度に対して,核を持たない国は猛烈に反発して,アメリカにクレームをつけました。「それは約束と違うではないか。今,核兵器を廃絶しなければ,我々も核を保有するぞ」と言ったわけです。こうして,2005年の再検討会議は,全くの失敗に終わりました。最終文書すら,出せませんでした。 もしアメリカが,2010年も全く同じ態度でいたら,もう世界は核だらけになったでしょう。しかし,幸いなことに,オバマ氏が大統領になり,とにかく言葉で「核のない世界を目指している」と説得力のある演説をしたことにより,望みが出てきました。それでも,僕を含む反核運動のNGO のメンバー全員が心配しているのは,今度の会議でも,核保有国が再度曖昧で時間の制限の入っていない約束をするのではないだろうか,ということです。もし,そうなったら,核を持たない世界の国々は,NPT を完全に無視することになるでしょう。差し迫る危機 ―― 核のない世界か,核だらけの世界か?―― 先日,ニューヨークで,中近東のある大使に会いました。彼が語ったのは,「NPT はもはや死んでいる。アメリカとインドとの核に関する協定によって,(直訳すると)NPT の心臓に矢が撃ち込まれた」と。これが,中近東の反応です。 イランは,核兵器を作っていないと,ずっと言ってきています。そして,核の監視を行っているIAEA(国際原子力機関)も,「イランが核兵器を作っているという証拠はありません」とずっとコメントしてきました。これは,イスラエルとアメリカがイランを攻撃しないようにするための配慮からきていると思いますが,とにかく「証拠はない」と言ってますし,イランも「核を開発していない」と主張しています。だから,本当のことは,イランの政府中枢以外は分からないとは思いますが,国連の常識では,あと 2 年でイランは核兵器を持