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金融ユニバーサルデザイン(下) 19規制がかけられ,これまでのような利点だけの強調や誤認を誘う広告は禁止された。リスクについては投資額を割り込む程度か,それとも投資額を上回るほどの損失がどの程度発生する....

金融ユニバーサルデザイン(下) 19規制がかけられ,これまでのような利点だけの強調や誤認を誘う広告は禁止された。リスクについては投資額を割り込む程度か,それとも投資額を上回るほどの損失がどの程度発生するのか,それをその原因となる指標と理由もふくめて表示しなければならなくなった。また総額いくらの手数料になるのかを具体的に明示することと,それ以外に顧客の不利益になる事実も明記が必要になった。これらのことを明瞭かつ正確に表示し,リスク情報は,広告の中の最も大きな文字・数字と著しく異ならない大きさで表示することが義務づけられたのである。 金融商品取引法の目的に新しく「金融商品の公正な価格形成」が盛り込まれたことを反映して,有価証券の取引に関する金融情報については,虚偽や誤解を生じさせる表示の規制,虚偽相場の禁止,相場操縦の禁止,対価を受けての情報はその旨表示すべきなどの,規制が盛り込まれた。 これを受け改正金融商品販売法においても,次のように改善されることになった。前述したように,金融機関が顧客自身に理解できるように説明しなければならない重要事項は拡大された。「元本割れのおそれとその要因」に加えて,証拠金や保証金などのように「当初元本を上回る損失が生じるおそれ」についても追加された。さらに「損失を生じさせるおそれがある直接の原因となる変動の指標」,そしてそのような損失を生じさせるおそれがある「金融商品の取引の仕組みの重要部分(契約や権利・義務など)」についてもわかりやすい説明が求められるようになった。これらの説明義務違反を金融消費者が立証できれば損害賠償を受け取れるのである。 また,不確実なことについて断定的情報を提供するなどの行為によって顧客に損失が生じたときも,元本割れ額を損失額として推定できることになった。 前述したように,金融ユニバーサルデザイン原則が米国に浸透していれば,証券化されて国際的に販売され返済不能から世界を震え上がらせたサブプライムローンは,最初の契約時点で抑制できた。サブプライムローンの多くに,悪質な住宅ローンブローカーなどによって虚偽の情報で契約させられたものがあるからである。住宅ローン契約にあたって金融消費者にとっての重要情報が意図的に隠蔽されていたり,分厚く難解な契約書の中に埋没させられていたりしたのである。24)