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20 高知論叢 第96号 原則 4 は,金融に関する情報をわかりやすく伝達することを求めた原則であるが,いくら伝達方法や伝達手段をわかりやすいものにしても,伝達されるべき情報そのものが複雑で難解であれば,わか....

20 高知論叢 第96号 原則 4 は,金融に関する情報をわかりやすく伝達することを求めた原則であるが,いくら伝達方法や伝達手段をわかりやすいものにしても,伝達されるべき情報そのものが複雑で難解であれば,わかりにくいことに変わりはない。したがって原則 4 は,情報そのものが簡単で容易に理解できるものであることを求めた原則 3 を必要とする。原則 3 と原則 4 は,一体不可分な関係にある。 また情報公開の促進も重要であり, どのような状況にあるどのような人であってもすべての人が,必要にして重要な金融情報に利用接近(アクセスビリティ)できることが必要になる。 ガイドラインはそのまま必要にして重要な金融情報のわかりやすい伝え方の具体的指針となり得る。情報をわかりやすく伝達するための具体的方法を列挙したものである。 金融における重要情報は,①異なった方法でくりかえし,②重要事項は十分に区別され,③読み取りやすく,④説明事項は区別して,⑤多様な知覚補助装置の機能を妨げないで,提供されるべきなのである。原則 3 のガイドラインの④にあった「情報の重要度に基づいた配置」も,ここに加えられる必要がある。 金融においては,情報そのものが主要な利用対象物であること,そしてその金融情報の範囲が広いことから,独自の具体的指針も必要になるかもしれない。これからの検討課題である。原則 5 :金融利用において失敗したとしても許容できる範囲であること(Tolerancefor Error in Finance)。「金融デザインは,予期しないあるいは意図しない行為がもたらす危険性や不利な結果を最小にできるものであること。」(ガイドライン)①最も利用されている諸要素や最も利用機会のある諸要素ほど,危険性や失敗を最小にできるように諸要素を整えること,すなわち危険性のある諸要素を除外したり,隔離したり,遮へいしたりすること。②危険性や失敗について警告すること。③失敗したとしても安全であること。