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金融ユニバーサルデザイン(下) 23金融商品)を販売する窓口を別にして,そのことを誰にでもわかるように明示することが重要になる。 失敗からのすみやかな回復には, 契約してから一定の期間内なら違約金無しで契....

金融ユニバーサルデザイン(下) 23金融商品)を販売する窓口を別にして,そのことを誰にでもわかるように明示することが重要になる。 失敗からのすみやかな回復には, 契約してから一定の期間内なら違約金無しで契約を解除できるクーリングオフ制度の適用範囲の拡大と充実が欠かせない。また早期にそして迅速に金融トラブルを解決できる裁判外紛争解決制度(ADR)は必要である。英国のような,金融機関が運営費用を負担し,損害賠償命令権限をもった中立・公正な第三者機関(金融オンブズマンサービス:FOS)の創設は急務である。日本の業界が運営するADR は苦情を受け付けるだけで, ほとんど機能していないのが現状である。しかし2009年 6 月に金融商品取引法の一部改正により,金融分野における指定紛争解決機関制度(金融ADR 法)が成立したことは,業界横断型の単一ADR 制度ではないという限界はあるものの,一歩前進であった。これは,苦情処理・紛争解決手続を中立・公正に実施する機関を指定し,金融機関に対してそことの間で紛争解決手続の応諾,資料提出,解決案の尊重などの契約締結を義務づけるものである。 金融における失敗の予防とそれからのすみやかな回復には,社会的な啓もう活動と社会的セーフティーネット(安全網)も求められるので,それらの拡大と充実は必要である。 ガイドラインは,リスクがないことを前提としている有形商品を対象にして作成されたものである。したがってリスクのある無形的性格の金融商品や金融サービスにどこまで適用可能であるのか, 検討すべき余地は大きい。ただし①危険性のある諸要素の除外・隔離・遮へい,②危険性や失敗の警告,③失敗したとしても安全である,④無意識な行為をさせないようにすること,などの基本理念は共通する。原則 6 :金融利用において身体的負担が少ないこと(Low Physical Effort inFinance)。「金融デザインは,効率的に,快適に,そして最小の疲労で利用できるものであること。」(ガイドライン)