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金融ユニバーサルデザイン(下) 3 「金融環境」とは,この直接の金融サービスの働きを総合的に支える,金融にかかわるソフトウェアーとハードウェアーのすべてを表すものとする。したがって金融行政サービス,金融....

金融ユニバーサルデザイン(下) 3 「金融環境」とは,この直接の金融サービスの働きを総合的に支える,金融にかかわるソフトウェアーとハードウェアーのすべてを表すものとする。したがって金融行政サービス,金融情報提供サービス,金融教育サービスなどの間接的な金融サービスも含み,金融行政,金融制度,金融情報,金融教育などのソフトウェアーにかかわる環境とハードウェアー環境を総合的に表す意味で使用する。 また,当然に国際金融分野も含まれる。つまり通貨の交換を伴う金融取引(いわゆる外貨建取引)や国境をこえた金融取引もこの適用対象となる。 金融ユニバーサルデザインの定義は,金融サービスと金融環境を,どのような状況にあるどのような人であってもすべての人が等しく金融を利用できるように,設計・企画・計画・開発・作成・供給・管理・運営する基本原則を表現したものである。金融における共同利用の基本原則であり,金融という公共財を設計・管理・運営する思想である。したがって金融に関係するすべての専門家の職務指針であり,金融行政関係者,金融仲介機関の経営者や従業員,金融研究者などの行為指針ともなるものである。 「すべての人々」とは,これまで繰り返し述べてきたように,多面的多様性をそなえた人々の集まり(集合体)という意味であり,金融によって直接・間接に利益や恩恵を得る人々の空間的な集まりであるとともに,世代をこえた集まりである。この多面的多様性をそなえたすべての人々という表現は,以下に検討する金融ユニバーサルデザイン 7 原則において, その原則のそれぞれで異なった言葉が与えられている。例えば,次の原則 2 では「広い範囲で異なる個々人の好みや能力」,さらに原則 3 においては「経験,知識,言語能力,集中力のレベルにかかわりなく」,原則 4 では「周囲の状況や知覚能力にかかわりなく」というようにである。しかし,これはそれぞれの原則に特徴的な個別的多様性を例示しただけであって,多面的多様性を基本においていることには違いはない。 「最大限可能な限り」という文言については,いろいろ議論のあるところであるが,第Ⅱ章で述べた意味で残すことにした。現在のユニバーサルデザイン原則との整合性を生かすためである。 「改造や特別のデザインを必要とすることなく」とは,金融分野においても,