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52 高知論叢 第96号員会の会議は公開で行なわれる13。 農業委員会はその性格として,行政実務の一部を担う行政機関という性格と,農業者が直接選挙によって選ぶ自分たちの代表機関という,二つの性格を持つ。農業....

52 高知論叢 第96号員会の会議は公開で行なわれる13。 農業委員会はその性格として,行政実務の一部を担う行政機関という性格と,農業者が直接選挙によって選ぶ自分たちの代表機関という,二つの性格を持つ。農業委員会は,実態としては多くが市町村役場内に事務局があり,職員が市町村職員であり,市町村と協力しながら実務を行なっているという点で市町村内の一部機関と見えるが,形式上は行政庁からは独立した組織をもち,行政上の権限を行使し,行政実務を担っている。一方,農業委員は,地域の農業上の諸問題に取り組み,地域の農業者を代表して委員会で意見を述べ,委員会はそれをまとめて公表し,農業者の利益を代表している。 農業委員会の独立性を担保するものとして,委員の公選制がある。委員の選挙は,市町村の選挙管理委員会が管理し,調査に基づき作成された農業委員会選挙人名簿に基づき,公職選挙法に準じて行なわれる14。現実には予算的制約や委員のなり手不足,伝統的な地域主体の根回し等があって選挙前に調整がつき,選挙において投票が行なわれることは限られた場合になっているが,独自に代表を選出するという法的裏づけがあり, 選ばれた代表による意思表示によってなされる事務処理は,一般行政とは異なる意味合いを持つ15。現在,市町村段階の行政委員会で公選制を採っているのは農業委員会のみであり,他の行政委員会と比較した場合に,農業委員会の大きな特徴であるといえる。1-3. 農業委員会に求められる役割の変化 農業委員会のもつ二つの性格に対応するように,農業委員会・農業委員の役13 法26条。なお,議事録は縦覧に供される(法27条)。14 法 7 条以下。8 条には選挙権,被選挙権についての規定があり,農業委員会の区域内に住む20歳以上の者で, 都府県にあっては10a, 北海道にあっては30a 以上の農地について耕作の業務をいとなむ者とその同居の親族又はその配偶者,及び農業生産法人の組合員,社員又は株主(親族以下には省令で定める耕作に従事する日数が必要)となっている。15 選挙は 3 年ごとに行なわれるが,多くの場合,事前に調整がなされ,無投票による当選となり,実質的な意味での選挙はあまり行なわれない。しかし投票にいたるケースが無いわけではなく,例えば高知県の場合,2009年 4 月の香南市(旧野市町を含む)農業委員会選挙では投票が行なわれた。選挙委員定数25名のところ,立候補者が30人あり,2 つの選挙区で投票の結果第 1 選挙区で13名,第 2 選挙区で12名が当選した。