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農業委員会の今日的役割53割にも,大きく分けて二つの側面がある。法に基づいて行政の一部を担う側面と,農業者間の利害を調整し農業者の利益を代表する側面である。法 6 条で言えば,行政機関としての農業委員会が....

農業委員会の今日的役割53割にも,大きく分けて二つの側面がある。法に基づいて行政の一部を担う側面と,農業者間の利害を調整し農業者の利益を代表する側面である。法 6 条で言えば,行政機関としての農業委員会が行なうのは法令業務と任意業務の一部であり,農業者の代表機関として行なうのは任意業務の一部と意見の公表等である。 従来の農業委員会に求められる役割は,法令業務が中心であり,法に忠実に事案の処理を行うことが重視されてきた。しかし昨今は,法令業務を適正に処理していく上でも,うわべだけの協議や単なる承認では済まず,様々な要素を考慮して,個別具体的な内容を精査し的確な決定を下せる高度な判断力が要求される案件が多くなっている。任意業務についても,時代の変化の中で,農業委員会が果たすべきとされる役割が拡大してきている。農地流動化の促進や担い手の育成,遊休農地の解消など,具体的な課題に対して,能動的に行動することが求められるようになってきているのである。さらに,地域の農業者の代表として意見を述べ,農業者の利益を守る代表として行動することも求められている。農業委員会活動が注目され,従来の役割から更に一歩踏み込んだ活動が,農業分野のみならず,地域社会全体からも期待され,求められている。 農林水産省の私的諮問機関である「農業委員会に関する懇談会」は,2003年4 月に「農業委員会に関する懇談会報告書」を取りまとめ,地域農業に関する振興業務の見直しを含む活動の重点化,必置基準面積や委員定数などの見直しを求めた。これを受けて,農業委員会等に関する法律の一部改正案が国会に提出され, 改正法は2004年 5 月に可決, 成立し, 同年11月から施行された。農業委員会の職務については,法 6 条 2 項が改められ,任意業務の内容として,農地として利用すべき土地の農業上の利用の確保( 1 号), 効率的な利用促進( 2 号),法人化その他農業経営の合理化( 3 号)といった文言が入り,農地の効率的な利用を促進する上で委員会が果たすべき役割が明確化された16。2004年の改正は,農業委員会活動の重点化を図るとともに,必置基準面積の引き上げ16 2004年改正前の法 6 条 2 項には,農地等の利用についてのあっせん及び争議の防止( 1号),農地の交換分合のあっせんその他農地事情の改善( 2 号),農業技術の改良,農作物の病害虫の防除その他農業生産の増進( 4 号・2004年改正では 3 号に相当)等の規定があった。