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4 高知論叢 第96号事後的な改良や特別仕様を後から施すのでなく,あらかじめ上記の原則や思想に基づいて,金融サービスと金融環境を設計・企画・計画・開発することをいう。 1998年 4 月に始まる日本における金融....

4 高知論叢 第96号事後的な改良や特別仕様を後から施すのでなく,あらかじめ上記の原則や思想に基づいて,金融サービスと金融環境を設計・企画・計画・開発することをいう。 1998年 4 月に始まる日本における金融の大規模改革(日本版金融ビックバン)においては,金融商品の設計と販売および金融機関の参入を自由化しておきながら,多様な金融商品に対応できる包括的・統一的な金融消費者保護体制の確立は後回しにされた。このためそれ以降,金融消費者被害が多発するようになり,後からこれに対処するためにそのほころびや不備を次から次へと縫い合わせるような対策がとられた。この結果,日本の金融制度は継ぎはぎだらけで,ますます複雑でわかりにくいものになってしまった。英国においては,1986年の証券市場改革(いわゆる金融ビックバン)において規制緩和と同時に,投資商品についての包括的で業界横断的な「金融サービス法」を制定し,その後も2000年に預金・保険もふくめたさらに包括的な「金融サービス・市場法」を成立させたことと,対照的である。 次に,金融ユニバーサルデザイン 7 原則について検討してみよう。 第Ⅱ章の「ユニバーサルデザインの定義と原則」で紹介したように,ユニバーサルデザイン 7 原則は,①現存するデザインの評価基準として,②デザイン作成過程を導く基準として,③デザイナーと消費者を啓もうする基準として,適用されるものであった。 そうだとすると金融ユニバーサルデザイン 7 原則についても,この三つの適用基準が次のように応用されなければならない。 金融ユニバーサルデザイン 7 原則は,第 1 に,現存する金融サービスと金融環境の評価基準として,第 2 に,金融サービスと金融環境の設計・企画・計画・開発・作成・供給・管理・運営過程を導く基準として,第 3 に,これらのそれぞれに携わるすべての金融職業人と金融専門家および金融消費者を啓もうする基準として,適用されるものである。 またこれも上述した箇所で紹介したように,ユニバーサルデザイン原則の適用にあたっての二つの注意書きも,金融ユニバーサルデザインの場合には,次のように応用される。ただし金融ユニバーサルデザインの場合には,すべての人にやさしいという個別的有益性の原則だけでなく,社会的利益や国際的利益