096号

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66 高知論叢 第96号者が不在地主(相続等で発生)の場合には,指導しても改善されない,あるいは指導そのものが困難な場合も少なくない。 担い手の育成・確保については,他の部局や農協等の団体と連携・協力する....

66 高知論叢 第96号者が不在地主(相続等で発生)の場合には,指導しても改善されない,あるいは指導そのものが困難な場合も少なくない。 担い手の育成・確保については,他の部局や農協等の団体と連携・協力する形で施策を講じていた。認定農業者については,制度のメリットを強調するなどして確保に努めていたが,要件を満たしている農家が既に認定されていることも多く,既認定農家の再認定を促進する等の努力はされているが,総じて大きな成果が上がっているとは言いがたい。一部の農業委員会で研修施設・プログラムを設置してU ターン,I ターンによる新規就農者を確保しようという試みがみられた。 評価対象農業委員会の活動の全般的な状況は以上であるが,以下,特徴的な活動事例をいくつか紹介する。 (1) 定例会における転用許可申請の処理方法 土佐市は,県庁所在地である高知市の西隣に位置し,宅地造成,高速道路や国道の建設等による転用圧力が強いところであり,都市計画が未線引きであることもあって無秩序な開発がされやすく,優良な農地の潰廃が進んできた。一方,産業廃棄物の不法投棄などもあり,無断転用などから農地を守ることが,極めて重要な課題として農業委員会に認識されてきた。 このため,土佐市農業委員会では,農地の転用申請があると,農業委員会における審査に特別な方法を取り入れ,農地の転用圧力に対抗していた。すなわち,農地法 4 条申請の場合は当事者(農家),同法 5 条の場合は売り手(農家)と買い手(開発業者等)双方の当事者を農業委員会の定例会に召喚し,農業委員の前で申請内容について説明を求めていた。病気等で本人が出席できない場合には代理人(行政書士等)の出席が義務付けられており,出席者は,審査の席上直接,農業委員の質問等に回答を求められ,書類の不備,事実上の追認申請である場合など適正な手続とみなされない場合は,その場で許可相当との結論を出さずに,再申請を求めたり,無断転用が先行している場合に始末書の提出を義務付けたりするなどの処理を行っていた。筆者は2006年 3 月,定例会における審査を傍聴する機会があり,審査の実態を確認することができた。