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70 高知論叢 第96号しても他地区の様子が分からず適正な判断ができないという事情を考慮して,部会制を採用した。このため農業委員会の規模が大きくなり,合併のメリットである効率化(人件費の削減等)には成果が....

70 高知論叢 第96号しても他地区の様子が分からず適正な判断ができないという事情を考慮して,部会制を採用した。このため農業委員会の規模が大きくなり,合併のメリットである効率化(人件費の削減等)には成果が上がらなかったともいえるが,地域の実情を汲み取ることができる体制を残すことができたという点で,拙速な統合を避けられた事例となった。また,総会は年 4 回開かれ,各部会ごとの連携,農業委員会全体としての意思決定等について支障はない。2 つの農地部会は毎月 1 回それぞれ開催され, 各地区ごとの農振部会は適宜開かれることとなっており,必要に応じた柔軟な対応がなされている。事務局職員数は 5 名(うち専任 4 名)と,県内では多いほうではあるが,旧窪川町農業委員会と比べると 2 名の増員に過ぎず,旧 3 町村合計の事務局職員数 6 名を下回っている。 (4) 移動農業委員会と建議 高知市農業委員会は,移動農業委員会を実施している。市内の地区ごとに年に 1 回開催し,地区担当の農業委員が中心となってテーマ設定等を行い,農業委員会の役員, 事務局職員, 地区担当の農業委員および地区の農業者が出席し,農業委員会側が前年度に行なった建議等,農業委員会活動についての説明を行なうとともに,農業者との意見交換を行なうというものである。2008年度は市内の16地区で開催され,延べ 315名の出席者があった28。移動農業委員会では,「鳥獣害防止対策の行政の積極的な取り組みと助成制度」「ユズの搾汁施設導入等への助成強化」といった地域に密着したものから,「米の生産調整の抜本見直し」「地球温暖化に対応した農作物の品種改良」といった県あるいは国政レベルのものまで,様々な意見・要望が農業者との意見交換の中で出され,次年度の建議内容に一部反映されていた。移動農業委員会のほか,消費者団体との意見交換会,認定農業者との意見交換会も開催し,地域の農業に対する要望を幅広く調査・検討していた。建議は2008年10月に市長宛に出された。主な建議内容は「農業用水の確保及び排水対策」「農業後継者の育成確保対策」「地産・地消の推進と米の消費拡大」「有機農業の推進」であり,国への要望は「食料の28 平成20年度高知市農業委員会総会議案(2008年 8 月)参照。