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74 高知論叢 第96号きていると見ることができるのは高知市であるが,中山間農業協力員を置かざるを得ないことからも分かるように,必要と考えられる農業委員数を確保できておらず,農業委員会として完全な活動ができているとはいえないのが現状である。高知市の農業委員会活動が他の都道府県下の農業委員会と比べてどのような水準にあるか,比較できていないのでその力量を判断することはできないが,少なくとも活動評価した県下の委員会では,全ての活動分野で基準とすることができるような活動を行っているものと評価できる。最も体制が整っている高知市でさえも不十分といわざるを得ないのであるから,他の市町村の状況は更に厳しい。小規模な農業委員会にその傾向が強くなるが,法令業務をこなすために審査等の会議を開くことで手一杯の農業委員会が多く,これまで活動評価の対象とはなっていない,委員数一桁の委員会では相当深刻な人手不足があるものと推測される。これは,農業委員会の能力不足,努力不足が原因ではない。必要な事務の処理量をこなすのにも不十分な農業委員数・事務局体制にしかなっていないことが最も大きな原因である。 従って,特徴的な活動として事例を紹介した各農業委員会の活動は,不十分な体制の下で,予算や人員をやりくりしてなされたものであると認識すべきである。特徴的な活動についても,高知市は多くの活動を行なっており,事例として紹介できたものも多いが,他の農業委員会の事例について,一つ一つをみればどれも高知市と同等以上の活動を行なっているものと評価できる。これは,高知市と同等以上の体制を組むことができれば,高知市と同等以上の活動を行い,成果をあげられる可能性を示すものとして見るべきである。足りない部分をマイナス評価するのではなく,特徴的な部分をその農業委員会の潜在的な可能性として捉え,特徴的な活動の総和を,全ての農業委員会が行なえる体制を整える方向で努力していくべきである。 法令業務について,法律の基準に則って適正になされているものとみることができる。権利移動に関する許可等は農業委員会の活動の本分であり,農業生産の「基盤」である農地を守ることは,とりもなおさず農家の生活基盤を守ることを意味する。また,法令業務の適正な処理は,農家の信用のみならず農外(地域社会)の信用を確かなものにしていく上でも重要である。それがまわりま