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農業委員会の今日的役割75わって農地を守りやすくし,業務の円滑化にも資するのである。土佐市のような転用圧力の高い市町村の場合,当事者が直接委員会に出席することが義務付けられ,厳正に審査が行われることの意....

農業委員会の今日的役割75わって農地を守りやすくし,業務の円滑化にも資するのである。土佐市のような転用圧力の高い市町村の場合,当事者が直接委員会に出席することが義務付けられ,厳正に審査が行われることの意義は大きい。一つは,農業者が農地の転用を安易に考えなくなり,農地が保全されるということである。土佐市の一部地域は,周辺住宅地その他の地価が高いこともあって農地価格も高額であり,転用するときの売却益を考えると,ともすれば「自分の土地をどう使おうが…」という意識で転用しやすい気分も醸成されがちなところ,周辺農家を含む農業者の集団である農業委員会と直接対峙することを求められるのであるから,抑止力としての機能を一定程度果たしているものとみることができる。また,開発業者等に対して農地法および農業委員会の存在を周知徹底するのに役立つということもある。形式的に書類さえそろっていれば必ず転用可能であるというような安易な見通しで開発計画等を作っても,実際の審査では直接回答が求められ,的確に回答できなければ許可相当との判断が下りないという圧力を感じ,そのため慎重にことを運ぶことが求められるのであるから,開発側にとっては十分な圧力になる。安易に開発できない,ということが農業者以外にも周知されることが,転用防止の抑止力として機能している。 しかしながら,法令業務については課題も多い。農家の代表である農業委員は,法律に関してはいわば素人であり,法律の文言や内容について必ずしも専門的な知識を持っていないため,農外の土地開発業者等と法律の解釈等について対等に渡り合うことが難しい場合もありうる。農外からの転用圧力に対して,野市町では,事務局長と会長が緊密に連携し,安易な回答を避け(言質をとられないようにする),あるいは土佐市では審査の際に「あくまで最終決定は県である」と申し渡すなど,経験則に基づいた対策を確立していたが,それで十分な対応ができているとはいえない。また,手続等に関して全て法の予定するとおり厳密に行なうことが困難な状況にある農業委員会も確かに存在する。 任意業務について,2004年の法改正後農地の効率的利用の促進が業務として位置づけられているが,県内においては経営規模拡大による農地利用の促進という図式が当てはまらないということもあって,農地の利用集積の促進・担い手(認定農業者)の育成・確保といった取り組みはあまりなされていない。その