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76 高知論叢 第96号必要性がそれほど高くなく,農業委員会の余力がほとんどないという状況から優先順位が低いということがあると思われるが,今後の課題である。一方,遊休農地の解消に向けた取り組みは,多くの農....

76 高知論叢 第96号必要性がそれほど高くなく,農業委員会の余力がほとんどないという状況から優先順位が低いということがあると思われるが,今後の課題である。一方,遊休農地の解消に向けた取り組みは,多くの農業委員会で地域を限定しながらもパトロールを実施し,指導等がなされている。しかし,パトロールの多くは平場の優良農地中心であり,中山間地域についてはいわば目をつぶって,限定的な形でしか遊休農地対策を実施できていない。中山間に多くの農地が点在しているという高知県の地域特性もあるが,農業委員会の体制の限界といわざるをえない。また,不在地主が所有者であったり,相続問題が原因で利用がなされなくなったりした結果,遊休農地になっている部分については,経営基盤強化法27条の 2 以下の規定に従って処理することを検討していた農業委員会もあった。法律上は最終的に「特定利用権の設定」や「措置命令」まで行うことが可能であるが,これが行なわれる場合,対象となる特定遊休農地の所有者等と市町村・農業委員会の対立が決定的になると見られる上,特定利用権を設定した場合の担い手の確保や代執行の費用の回収手段の検討など,困難な問題が予想されるところである。現段階では法律の文言どおりに執行することなく,農業委員会が実態に即した妥当な判断・措置を行っているものともいえる。3 農業委員会のあるべき姿3-1. 農業委員会のあるべき姿 ここまで,農業委員会の活動について,高知県を例にとって,農業委員会が果たしている機能について検討してきた。以下では,農業委員会がこれから果たしていくべき役割とそれに必要な対応について,筆者の考えるところを述べたい。 農業委員会の主たる任務は, 法令業務および任意業務を適正に行うことによって,市町村内の農地について,これを維持し,利用の促進を図ることである。 地域の農地管理については,これまで集落がその基本的方向性を決め,集落内の農家がこれに従うことによって維持されてきた。集落機能が低下した地域においては,集落に代わる何らかの組織がこれを担うことになるが,そのよう