096号

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農業委員会の今日的役割77な地域において,有力な組織がある場合は少ない。結局のところ,市町村が集落を支え,集落機能を代替するが,農地管理については,不十分ながらも農業委員会が行なうことになる。その際,農....

農業委員会の今日的役割77な地域において,有力な組織がある場合は少ない。結局のところ,市町村が集落を支え,集落機能を代替するが,農地管理については,不十分ながらも農業委員会が行なうことになる。その際,農業委員が当該地区の農地事情をある程度把握していなければ,適切な農地の利用集積や促進,あるいは遊休農地の把握と管理等の措置を的確に行なうことはできない。農業委員会の現状は,それをこなすことができるぎりぎりの線で踏みとどまっているといえ,農業委員会の体制の維持が必要である。 農業委員会は,その根幹に,代表者による意思決定機関であるということがあり,制度上現在までこの根幹部分は維持されている。そして,農業委員は,多くの農業委員会で,集落や行政区といった「地区」を代表している。委員が集まって農業委員会においてなされる決定は,地区の意思の総和としての,市町村内の農地管理の基本的方向性を示すものとみることができる。市町村内の農地利用秩序については,農業振興地域整備計画や経営基盤強化基本構想に市町村の基本的な方向性が示されるが,農業委員会もこれに影響力を行使している。のみならず,農業委員会が法令に基づいて下す判断の一つ一つが,地域の農地の利用秩序を形成しているということも見逃せない。この役割を,従来の農業委員会はそれほど意識してこなかったともいえるが,集落機能の低下,農業者の集団としての力の弱体化, 市町村の広域化による地域における行政の希薄化といった事態が,ある意味「踏みとどまっている」農業委員会の活動を顕在化させ,その役割が注目されるようになってきたともいえる。全ての農業委員会がそういった役割を自覚しているとも,実際にその力を十分に発揮できているとも言うことはできないが,地域の農地についての,農業者の代表機関,すなわち公共性の担い手であるという立場を再認識し,農業委員会が自覚的に農地利用秩序を形成していくべきである。 農業委員は,地区の代表であり,地区の農業上の諸事について,これを指導する役割を果たすことが期待される。個別農家に対応して問題に対処する機関が減少しつつある中で,農地の境界問題や営農相談等,農業集落における様々な問題に対する「よろず相談役」的な役割を果たすことが求められる。2004年の法改正では,任意業務について,農地の利用集積の促進,有効利用の確保,