096号

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78 高知論叢 第96号経営の合理化促進等を主たる任務と位置づけているが,改正前の法 6 条 2 項に列記された事項についても,積極的にその任務を果たしていくべきである。 また,農業委員会・委員は,農業者と他と....

78 高知論叢 第96号経営の合理化促進等を主たる任務と位置づけているが,改正前の法 6 条 2 項に列記された事項についても,積極的にその任務を果たしていくべきである。 また,農業委員会・委員は,農業者と他とを結ぶつなぎ役としても期待される。かつては,集落,農協,農業改良普及員等,農業者の相談相手となり,また農業者と他をつなぐ役割を果たす組織や人の網が数多くあり,二重三重に農業者を覆っていたが,集落機能の低下,農協の広域合併,市町村の合併や農業関係機関の統廃合等によって,網の目のほつれが顕著になってきている。その中で,農業者が他とのつながりを維持していく上で農業委員会および農業委員が果たすべき役割は大きくなっている。つなぐべきは行政や農業団体ばかりではない。農外の一般住民や市町村外にも,農業委員会の存在を知らしめ,相互理解を図るとともに,委員会が果たしている役割について情報を発信していくべきである。農村における農外住民との混住化が進み,農業集落は大きく変貌している。混住化が進んだ地域においては,一般住民から遊休農地や農地転用に関する情報提供がなされることも増えている。農地の不適切な管理・利用に対する苦情が主であるようだが,農外からの接触であることに変りはなく,そうした状況下で,農業内部の事情について,外部に知らせる必要性は増している。また,農業・農地の問題について,内部の問題として対処するだけではなく,委員会として地域全体を見渡した観点からも捉えなおす必要がある。 以上のように,農業委員会には果たすべき多くの役割があり,課題がある。繰り返しになるが,役割を十分に果たし,課題を克服していくための組織の現状は,明らかに不十分である。現在の農業委員・職員の数,与えられる予算では,任務を適正に果たすことはできない。特に,農業委員の数を,市町村合併等で絞り込んでいく今の方向性は,農地管理の最後の砦を崩壊させかねない危険性をはらんでいる。法律で,委員の数は,農業者の数と農地面積によって規定されているが,人数と面積だけではなく,集落の数や農地の分布状況,事務処理件数等を総合的に考慮し,地区の農地事情の把握に支障がないよう,法律の改正も含めて考えるべきである31。31 高知市の農業協力員のような制度も一考の価値はあると思えるが,まずは農業委員会の枠内で考えるべきである。