096号

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農業委員会の今日的役割81農地に関する非常に重い責任を,農業委員会は負ったことになる。 今回の改正によって,農業委員会はより多くの責務を負うことになったが,職務の増加に見合う体制の拡充等の措置がなされる....

農業委員会の今日的役割81農地に関する非常に重い責任を,農業委員会は負ったことになる。 今回の改正によって,農業委員会はより多くの責務を負うことになったが,職務の増加に見合う体制の拡充等の措置がなされるかどうかは不透明である。衆議院農林水産委員会での改正法案審議中,全国農業会議所専務理事の松本広太氏は,農業委員会にかかる負担について「これはもう受けて立つということ」であるとして,改正法上農業委員会および系統組織に課される負担についてその責任を果たす旨の決意とも取れる発言をしているが,改正法の下でどれだけのことを農業委員会がやらなければならないのか,あるいはやれるのか,施行段階になって初めて現実と対峙することになる。本稿で不十分ながらも示した高知県の状況からすると,現在ぎりぎりのところで職務を果たしている現場に対して,さらなる負担増をなんらの手あてなしに押しつけることは避けなければならない。農業者,農業委員会,地域住民がこれまでつくり上げてきた農地利用秩序に寄りかかるような法改正になってはならない。改正法附則19条は,「政府は,農地制度における農業委員会の果たすべき役割にかんがみ,農業委員会の組織及び運営について検討を加え,その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」としている。真に必要な措置をできる限り早く講ずるべきである。結びにかえて 筆者は,農業委員会活動評価検討会の中で,また,種々の現地調査等において,これまで多くの農業委員と接してきた。農業委員に関しては,名誉職的な地位であるとか,自分たちの利益を守るための仕事であるとか,様々な批判があるが,筆者が直接会った委員からそのような印象を受けることは殆どなかった。委員の方々は実に多様であり,それぞれに独自の価値観,見識をもって任務にあたっていたが,筆者が感じた彼らの共通点は,自分ひとりのために委員をしているのではない,ということであった。地域あるいは所属団体の代表として,地域,所属団体の総意を伝えるために委員会に参加し,行動しているという意識が,発言や態度の端々からよく伝わって来た。職員も,事務処理の現