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保安処分に関する一考察87見に晒された。刑事法研究者からなる刑法研究会13をはじめ,日本弁護士連合会,日本精神神経学会の他,日本新聞協会や日本雑誌協会といったマスコミ,女性団体や消費者団体からも反対意見が....

保安処分に関する一考察87見に晒された。刑事法研究者からなる刑法研究会13をはじめ,日本弁護士連合会,日本精神神経学会の他,日本新聞協会や日本雑誌協会といったマスコミ,女性団体や消費者団体からも反対意見が示され,「刑法『改悪』阻止」をスローガンとする市民運動が盛り上がりを見せた。実質的な刑法改正の多難が予見され,とりあえず,内容上の改正と分離して,口語化のみを実行するべきだという主張が現れた14。 法務省は,1981年(昭和56年),「刑法改正作業の当面の方針」を公表したが,保安処分導入の堅持等が改めて強い批判を浴び,この方針は実現されなかった。そして,刑法改正作業はその後,現代用語化に縮小され,1995年(平成 7 年),刑法の一部を改正する法律により,表記の平易化等が実現した。(3)法制審議会刑事法特別部会の構成 法制審議会は, 司法に関する重要な法律の改正について, 法務大臣の諮問に応じて意見を述べる委員会であり,「法律の各分野における最高級の学識経験者二十数名からなって」15おり, それぞれの諮問について審議する場合には,諮問された事項についての専門家からなる部会を設けて検討を行なわせ, その結果に基づいて法制審議会としての結論を出すという方法が採られている16。1963年(昭和38年)の諮問第二十号については,「刑事法特別部会」とよばれる部会が設けられた。 本稿の検討対象たる刑事法特別部会は,1963年(昭和38年) 7 月 6 日に第 1 回会議が開催され,1971年(昭和46年)11月29日の第30回会議をもって,審議を終了した。法務省としては,当初,3 年位のあいだに答申を得たい17としており,議事おいてもそれが意識されていることが見て取れる18が,結果, 8 年余を費や13 刑法研究会による改正刑法草案への批判的検討として,平場安治=平野龍一編『改正刑法の研究 1 概論・総則』(東京大学出版会,1972年),平場安治=平野龍一編『改正刑法の研究 2 各則』(東京大学出版会,1973年)参照。14 松尾浩也「刑法典とその平易化」松尾浩也編『刑法の平易化』(有斐閣,1995年)17頁。15 法務省刑事局『刑法改正をどう考えるか』(大蔵省印刷局,1974年)10頁。16 法務省刑事局『刑法改正をどう考えるか』(大蔵省印刷局,1974年)10頁。17 法制審議会刑事法特別部会第一回会議議事速記録 8 頁。18「 H部会長…初めから三年を目途とするというのですから,そのできるかできないか