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保安処分に関する一考察89録等の資料が配布されたが,当時としては,刑事法特別部会の審議経過がすべて明らかにされることはなかった22。3 刑事法特別部会の議論の出発点 以下では,法制審議会に設けられた刑事法....

保安処分に関する一考察89録等の資料が配布されたが,当時としては,刑事法特別部会の審議経過がすべて明らかにされることはなかった22。3 刑事法特別部会の議論の出発点 以下では,法制審議会に設けられた刑事法特別部会における議論のうち,特に保安処分に関する議論状況を検討していくこととする。刑事法特別部会において,A案・B案と呼ばれる二つの参考案が提示されたのは,第19回会議(第 2 日)でのことである。当初は小委員会での議論を,刑事法特別部会で報告する形態で進められた。 ここでは,A 案・B 案が提示されるまでの,刑事法特別部会の議論状況を確認することとしたい。(1)法制審議会刑事法特別部会第1回会議(昭和38年 7 月 6 日) 刑事法特別部会は,1963年(昭和38年) 7 月 6 日に第 1 回会議が開催された。第 1 回会議において,法務省当局より,諮問第二十号がなされた経緯及び諮問の趣旨が説明された。「A 委員 ……この機会に,現行の刑法に全面的再検討を加えます上で特に重要と考えられる二,三の問題点について申し述べさせていただきたいと存じます。……近年の刑事政策思想とその実践面における発達をどのように考慮すべきかということであります。この点につきましては,現在の刑法が世界的動向に比して立ち遅れておりますことは,しばしば指摘されているところであります。この機会に,保安処分,不定期刑をはじめとする新しい刑事政策的諸制度を導入すべきかどうかについて十分な審議を尽くすだけでなく,刑の種類,執行猶予,仮釈放などに関する現行刑法の規定をも再検討する必要があると考えられるのであります。」2322 この間の経過として,吉川経夫「刑法改正の現状と論点」『刑事立法批判の論点』(法律文化社,1967年)29頁。23 法制審議会刑事法特別部会第一回会議議事速記録 6 頁以下。なお,速記録の委員名,