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90 高知論叢 第96号 現行刑法は,保安処分に関する規定を設けておらず,それが現行法の不備として捉えられていたといえよう。現行刑法施行後,既に1926年(大正15年)に臨時法制審議会により答申された「刑法改正....

90 高知論叢 第96号 現行刑法は,保安処分に関する規定を設けておらず,それが現行法の不備として捉えられていたといえよう。現行刑法施行後,既に1926年(大正15年)に臨時法制審議会により答申された「刑法改正綱領」には,保安処分に関する規定が設けられており,「刑法改正予備草案」「仮案」,そして戦後の「改正刑法準備草案」に至るまで,保安処分の種類や対象者の範囲等にそれぞれ違いはあるものの,すべてに保安処分の規定が設けられている。「保安処分の導入は,今次の刑法改正作業におけるもっとも喫緊の課題」24であった。 また,第 1 回会議においては,5 つの小委員会を置くことと,それぞれの分担事項についての提案がなされ,採決の結果,原案にゆとりをもたせた,すなわち,必要に応じて小委員会の分担事項に跨って審議をしたり,合同会議を開くことも可能であるとする修正案が,承認された。この場で問題に挙がった「累犯」の問題については,その後,第 2・第 3 合同小委員会が開催されることで,意見の調整が図られた。(2)法制審議会刑事法特別部会第2 回会議(昭和38年12月12日) 第 1 回会議後,8 月中に,それぞれの小委員会に所属する委員,幹事が,部会長から指名された。9 月に,第 1 回の小委員会が順次開催された。第 1 回小委員会において,互選により小委員長が選出され,この日までに,4 ないし 5回の小委員会が開催されていた。第 3 小委員会の保安処分に関する審議の経過報告がなされた。「B 第三小委員長代理 ……第三小委員会の担当いたします分野は,刑法の総則中の没収,時効,刑の消滅,保安処分及び期間に関する諸規定でございますが,このうち最も重要で,しかも議論の多いと思われるのは保安処分でございますから,まず保安処分を取り上げまして,準備草案の規定を参考にいたしながらもそれにとらわれませず,基本的な問題点の検討から始めることといたしたのでございます。御存じのとおり,保安処分は比較的新しい制度でございます。各国におきまする立法幹事名はすべて仮名とした。24 吉川経夫「刑法改正の現状と論点」『刑事立法批判の論点』(法律文化社,1967年)39頁。