096号

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保安処分に関する一考察91例もまちまちでございますし,その運用の実績につきましても,不明確な部分が少なくないのでございます。わが国におきましては,少年についてかなり広く保安処分が行なわれ,相当の実績をお....

保安処分に関する一考察91例もまちまちでございますし,その運用の実績につきましても,不明確な部分が少なくないのでございます。わが国におきましては,少年についてかなり広く保安処分が行なわれ,相当の実績をおさめているのでございますが,成人につきましては,刑に付随して行なわれるもののほか,独立の処分としては,わずかに売春婦に対しまする補導処分があるにすぎない状況でございます。……今後はこれまでにいたしました一般的な討議の経過を基礎といたしまして考えられる幾つかの保安処分について,より深い検討を加えていきたいと考えておる次第でございます。」25「保安処分の一般的な問題としては,どのような者に対して,どのような保安処分が必要かという保安処分の種類の問題と,その保安処分は刑や行政処分とどういう関係に立つかという保安処分の性質の問題があるというので,そのそれぞれにつきまして,典型的な幾つかの問題が討議しやすい形で取り上げられまして,逐次検討されていったのでございます。まず,保安処分の種類につきましては,精神障害者があげられました。次にアルコール,麻薬,覚せい剤中毒者,三番目が危険な常習犯人,四番目が労働嫌忌者,労働をきらう者,浮浪者,売春婦といった対象者の面からいたしまする分類と,断種,去勢,追放,住居制限,保護観察,運転免許の取消,停止,職業の制限といった処分の内容の面からいたしまする分類がなされまして,それぞれにつきましてきわめて大まかな検討が加えられたのでございます。 その結果,対象者の面につきましては,精神障害者及びアルコール,麻薬,覚せい剤中毒者に対しましては,何らかの形で保安処分を設ける方針で検討することに相なったのでございます。その過程で精神障害者に対しては主として治療のため,アルコール等の中毒者に対しましては主として禁断のため,保安処分を行なうのであるけれども,精神衛生法とか麻薬取締法その他の行政法規を整備いたしまして,行政機関をして適切な措置を取らせるのがよいのではないか。もし,人権侵害の危険があるならば,その面から必要な限度で裁判官の関与を求めるべきではないかとの意見が述べられたのでございますが,これに対しまして,現にこれら精神障害者または中毒者を取り扱っている精神病院側,あるいは刑務所側には,それぞれの本来の対象者とされるべき者とは異質の者が収容されてくるので取り扱いに困惑して25 法制審議会刑事法特別部会第二回会議議事速記録17頁以下。