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高知県における過疎対策の現状と今後の課題117年間の時限立法であったが,過疎対策立法は以後1980年に過疎地域振興特別措置法,1990年に過疎地域活性化特別措置法という形で延長され,現在2000年に成立した過疎地域....

高知県における過疎対策の現状と今後の課題117年間の時限立法であったが,過疎対策立法は以後1980年に過疎地域振興特別措置法,1990年に過疎地域活性化特別措置法という形で延長され,現在2000年に成立した過疎地域自立促進特別措置法が,2010年までの時限立法として施行されている。1 過疎対策事業において対象となる過疎問題とは,過疎地域自立促進特別措置法の目的によれば,人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し,生産機能および生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域について,地域の自立促進を図ることと理解されている。そして,同法によれば,過疎地域は,①1960年から35年間(または1970年から25年間)の人口減少率と,②財政力指数が 0.42未満,という二つを満たす地域である。2 過疎地域への施策は,過疎地域自立促進特別措置法の枠組みでみてみると,国,都道府県,市町村が一体となって総合的,計画的に実施されている。まず,都道府県が国の担当大臣(総務大臣,農林水産大臣,国土交通大臣)と同意を得るための協議を行なった上で,「過疎地域自立促進方針」を策定する。各都道府県の自立促進方針に基づいて,「過疎地域自立促進市町村計画」と「過疎地域自立促進都道府県計画」が策定される。市町村計画と都道府県計画に基づいて各年度の事業が実施されることになるが,両計画が国の担当大臣に提出されることで,国の施策の方針との調和が図られている。 都道府県が策定する「過疎地域自立促進方針」は,9 項目について定められることになっており,各項目に関連する事業が市町村計画・都道府県計画によって具体化されることになる。3 そして,過疎法に定められた施策は,財政・行政・金融・税制上の様々な範囲における特別措置によって行なわれる。1 本節における過疎対策事業の概要については,過疎対策研究会(2008)を参照した。2 過疎地域は市町村単位で指定されるが,過疎地域自立促進特別措置法では,市町村の廃置分合等があった場合,全体として過疎地域とみなす,あるいは旧市町村の単位で過疎指定をする特例がある(第33条)。2010年1 月現在,725の過疎関係市町村のうち,第33条の特例に基づいて過疎指定されているのは234市町村である。3 「過疎地域自立促進方針」に定められる9 項目は,①基本的な事項,②産業の振興および観光の開発,③交通通信体系の整備,④生活環境の整備,⑤高齢者等の保健および福祉の向上および増進,⑥医療の確保,⑦教育の振興,⑧地域文化の振興等,⑨集落の整備,である。なお自立促進方針は,10年間の時限立法の期間のうち,5 年ごとに前期方針と後期方針が策定される。