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高知県における過疎対策の現状と今後の課題119都道府県と市町村の過疎対策事業の事業規模は,総額を100とすると,おおよそ都道府県48に対して市町村が52であるが(過疎地域活性化特別措置法の期間),都道府県が交通....

高知県における過疎対策の現状と今後の課題119都道府県と市町村の過疎対策事業の事業規模は,総額を100とすると,おおよそ都道府県48に対して市町村が52であるが(過疎地域活性化特別措置法の期間),都道府県が交通通信体系の整備と産業振興に特化しているのに対して,市町村は生活環境の整備,教育の振興にも多くの事業費を費やしている。 そして,過疎対策事業の財源として,主要な役割を果たしているものが過疎対策事業債(過疎債)である。通常地方債は地方財政法第5 条に定められた経費にしか起債の対象にできないが,過疎債は,過疎対策立法に定められている経費であれば充当することができる。4 例えば過疎地域自立促進措置法で列挙されている事業は,①市町村道,農道,林道および漁港関連道,②漁港および港湾,③地場産業の振興に資する施設,④観光又はレクリエーションに関する施設,⑤公民館その他の集会施設など,全部で15におよぶ。また,起債充当率(一般財源に占める過疎債の割合)は原則100%で,元利償還金の70%は,地方交付税の基準財政需要額に算入される。過疎債は過疎地域の特性に合わせて起債対象が広く,起債充当率も高く,元利償還費の交付税措置も備わっているため,地方債というよりは実質的には「補助金」に近いものである。5 過疎債の残高は,2004年度で2 兆3594億円に達しているが,団体別に見ると,中核市268億円(1.1%), 特例市218億円(0.9%), 都市6566億円(27.8%), 町村1 兆6542億円(70.1%), 一部事務組合312万円(0.0%)であり, 町村が大部分を占めている。また,町村全体の地方債残高(11兆3604億円)の構成の点でも過疎債の割合が最も大きいことから(全体の14.6%),町村財政が過疎債に大きく依存していることが確認される。 また,歳入面から見ると,全国市町村に比べ過疎市町村は地方税の割合が低く地方交付税の割合が著しく高いが,歳出面では投資的経費や公債費の割合が4 地方財政法第5 条に定められた経費とは,①公営企業に要する経費,②出資金および貸付金,③地方債の借換えに要する経費,④災害関係,⑤公共施設,公用施設の建設事業費等,の5 つである。5 小泉(2008), 69ページ。なお,以下の過疎債の分析についても同論文を参照している。過疎債の他にも,類するものとして,辺地に係わる公共的施設の総合整備のために,市町村が財源にできる辺地対策事業債がある。辺地対策事業債は,起債充当率が原則100%,元利償還金の交付税措置が80%になっている。2007年度末の全国の現在高は,3453億7500万円である。