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高知県における過疎対策の現状と今後の課題129地域の事情に基づいて異なっている。 そこで,人口動向の特徴に沿って各市町村を四類型に分類し,過疎関係市町村の地域的特徴を地域労働市場の動向からより立ち入って....

高知県における過疎対策の現状と今後の課題129地域の事情に基づいて異なっている。 そこで,人口動向の特徴に沿って各市町村を四類型に分類し,過疎関係市町村の地域的特徴を地域労働市場の動向からより立ち入って考察する。過疎地域の人口移動は,地域労働市場の展開様式に規定されるためである。16 類型分けにあたっては,高知県内過疎関係市町村の人口動向の平均値を参考にする。図2によって平均との乖離という観点で整理し,過疎関係市町村の四類型を,①奥地山村型,②社会減型,③自然減型,④漁村・市域型と分けて検討していきたい。2.各類型の特徴:産業別就業者数の変化との関係で 類型ごとにいくつか市町村を取り出し,就業者数の比較をしているのが表7である。各市町村の人口動向を示している表8 と合わせて,産業別の就業者数でどのような地域的特徴があるのかをみていく。 ①奥地山村型:自然減,社会減ともに大きく,1960年代以降大きな人口減少を経験した地域である。ここでは大川村,物部村を代表格として取り上げている。両村に共通しているのは,就業者数のうち第1次産業の占める割合が大きいことである。そして,両村とも第1次産業就業者数を大きく減らしていくことも共通している。それを建設業の就業者数の増加が追いかけていくことになるが,第3 次産業の就業者数が減少し続けていることもあって,全体として就業者総数は大きな減少をみせている。 第1 次産業の就業者数が減少する1960~70年代に,大川村,物部村ともに大きな転出超過率を記録する。また,出生数の減少による自然減も1970年代以降現在に至るまで一貫して続いており,地域社会の再生産からすると,非常に厳しい状況に置かれている地域である。こうした傾向は,他の奥地山村型の過疎地域にもだいたいにおいて当てはまる。 ②自然減型,③社会減型:平均よりも自然減が多く社会減が少ない地域を自然減型,平均よりも社会減が多く自然減が少ない地域を社会減型とした。それぞれ特徴的な町村として,自然減型については香北町,社会減型としては馬路16 中嶋(1989), 42ページ。なお,ここでの類型分けは筆者によるものである。