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138 高知論叢 第97号1 次産業の振興を対象にしたものが多いことから,これまでの高知県の過疎対策事業は,産業振興という点で不十分さを持っていたということになろう。 現行の過疎地域自立促進特別措置法は2010年....

138 高知論叢 第97号1 次産業の振興を対象にしたものが多いことから,これまでの高知県の過疎対策事業は,産業振興という点で不十分さを持っていたということになろう。 現行の過疎地域自立促進特別措置法は2010年3 月に期限切れを迎えるため,今後の過疎法のあり方についてどうするが議論されている。国政の動きとしては,全体として過疎法の継続について合意がみられる状況であるが,2009年に政権党が民主党へと変わったため,どのような形で継続されていくのかは今後の事態を検証していく必要がある。24 なお, 本稿の分析範囲では過疎対策を全体として検討することは課題が大きすぎるので,本稿のまとめとして,過疎地域の中でもとりわけ厳しい条件におかれている中山間地域において現在焦点になっていると思われる3 点に絞って,今後の過疎対策について考える必要があると思われる論点を整理しておきたい。ここで検討する論点は,①集落対策,②条件不利地域対策,③財政問題の3 点である。Ⅳ 今後の過疎対策において検討すべき論点1.集落対策の必要性 過疎対策の対象は過疎要件をみたす市町村になるため,過疎対策の単位として市町村が中心におかれることになる。しかし,過疎関係市町村の間でも状況は異なっているように,市町村内部においても状況は異なっている。そこで,市町村内部の単位である集落間でも「集落分化型過疎」が進んでいるという視点が必要になる。25 「集落分化型過疎」とは,少子化・高齢化の進行は集落間の格差を拡大しながら不均等に進むということ,すなわち同じ過疎地域の中でも条件の不利な奥地の集落ほど,高齢化が進み,少子化が進むことを意味している。 総務省の過疎問題懇談会は,「過疎地域等の集落対策についての提言」(200824 本稿執筆時点では,さしあたり現行の過疎地域自立促進特別措置法を,2010年4 月1日から2016年3 月末まで6 年間延長するということが与野党で合意されたと報じられている。医師確保や生活交通の確保など,過疎債による財政支援の対象をソフト事業にも拡大することなども盛り込まれ,施行後3 年程度で見直すということである(『高知新聞』2010年1 月19日付)。25 山本(1996),199-208ページ,山本(2008),146-148ページ参照。