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高知県における過疎対策の現状と今後の課題139年4 月24日付)において,新たな過疎対策について検討を進めていく中で,集落の問題についても今後重要なテーマと位置付けるとしている。具体的には,集落支援員の配置....

高知県における過疎対策の現状と今後の課題139年4 月24日付)において,新たな過疎対策について検討を進めていく中で,集落の問題についても今後重要なテーマと位置付けるとしている。具体的には,集落支援員の配置,集落点検の実施,集落のあり方に関する住民同士・住民と市町村の話し合い,地域の実情に応じた集落の維持・活性化策などに取り組む必要性を説いている。 過疎問題懇談会の認識は,過疎地域対策からさらに最小の社会単位である集落対策についても必要になっていることを示している。26 また,「集落支援員」という,「人の支援」を打ち出していることも特徴的なことである。集落支援員は総務省が特別交付税として財源を手当てすることで取り組まれることになったが,とりわけ高知県では,類似の制度として2003年度から「地域支援企画員」制度がつくられ,現在約60人の職員が活動をしている。集落支援のあり方として,人の支援が果たす役割に期待は大きく,先行事例として位置づけられる高知県の取り組みに対する評価が必要になる。27 集落支援員は集落の「目配り」を行い,集落の現状の把握を行うことや,集落のあり方の話し合いへの参加,集落の維持活性化に向けた取組みについて,市町村と協働して取り組むことが期待されている。ひたすら人口増を目指すのではなく,過疎地域で生活している人びと,とりわけ多数を占める高齢者に,安心感のある生活を可能とする持続的な仕組みを提示することが求められており,市町村だけでなく,県も含めた取組みが求められるところである。282.条件不利地域対策からみた過疎対策 過疎地域に定住する条件をつくるには,雇用あるいは所得をもたらす手段が必要となる。一方で,現状として大規模な工場誘致は条件として難しく,市町26 玉里(2009),95ページ。27 新たに集落支援員(地域支援員)を導入した大分県佐伯市では,合併した旧町村部の住民の声を吸い上げ,市の周辺部対策に生かされることが期待されている(『朝日新聞』2009年11月15日付)。28 高野(2005),15ページ。また,高知県内の過疎地域にある小規模集落の高齢者に対する実態調査を行ったものとして,田中他(2010),を参照。同調査では,移動,水,買い物という3 つの生活課題が過疎地域にある集落で問題となっていることが浮かび上がってきた。